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ノロウィルスが牡蠣食中毒の主原因と解明された経緯:
30年間生産量が増えない世界の牡蠣養殖

2025/04/03
最終更新:2026-09-14

「ノロウィルスと日本の生牡蠣」
30年間世界の生産量が増えない牡蠣養殖の何故?

https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=227

1.牡蠣食中毒の主原因がノロウィルスと解明された経緯

牡蠣に当たる、という表現で多発していた中毒症状の大部分が、ノロウィルスを主因すると解明された(明かされた)のは比較的最近のこと。牡蠣食で感染するウィルスはヒトカリシウイルス科(Caliciviridae)に属する、カリシウィルス(caliciviruses) で、当初は小型球状ウイルス群(SRSV:Small Round Structured Virus)と呼ばれていました。

小型球状ウイルス群は冬期(11月~3月)に多く発生し、ウィルスが牡蠣などの二枚貝(あさり、ほたて、はまぐり)の中腸腺に蓄積されています。牡蠣は海中においてエラで呼吸する時に、プランクトンと一緒に小型球状ウイルス群を吸い込み、中腸腺に運び込んでSRSVを濃縮蓄積すると考えられています。

2.小型球状ウイルス群(SRSV)とノーウォーク様ウイルス(NLV)

1968年にアメリカ、オハイオ州のノーオーク(Norwalk)で児童に集団中毒が発生し、1972年になって病原ウィルスの検出に成功したため、2002年の学会ではノーウォーク様ウイルス(Norwalk‐like viruses:NLV)と名付けました。後にノーウォーク様ウイルスはSRSVと同じことが判明し、米国ではSRSV をNLVと呼ぶ学者が多くなりました。その後日本でもSRSV類は総称してノーウォーク様ウイルスと呼ぶようになりましたが、この頃、欧米ではすでにノーウォーク様ウイルスをノロウイルス( Norovirus )と総称していました。

その後ヒトカリシウイルス科には遺伝子の異なるウィルスが次々に発見され、発見地の名前が漸次つけられています。
Ø サッポロウイルス(Sapporo-like viruses SLV)
Ø スノーマウンテンウィルス(Snow Mountain virus)
Ø モンゴメリーウィルス(Montgomery County virus)
Ø ハワイウィルス(Hawaii virus)
Ø トートンウィルス(Taunton virus)
Ø ムーアクロフトウィルス(Moorcroft virus)
Ø バーネットウィルス(Barnett virus)
Ø アムールリーウィルス(アマルリーウィルス)(Amulree virus)
胃腸炎を起こすアストロウィルス(Astroviridae)も過去にはカリシウィルス科に分類されていましたが、現在は別科目です。

3.ノロウイルス( Norovirus )のグローバルな影響症例数

ノロウイルス(Norovirus)のグローバルな影響症例数は年間~6億8,500万件死亡者数は年間136,000人から278,000人と推定されています。2024年米国厚生省(National Institutes of Health :NIH)

米国の疾病センター(CDC)では、2024/05/08現在、米国のノロウイルス感染は推定19〜2,100万人。65歳以上の成人に限っても900人が死亡、109,000人が入院、465,000人の救急外来受診(主に幼児)を引き起こしていると報告しています。65歳以上の成人は敗血症(sepsis )、心臓疾患(cardiac issues)の合併症で死亡することが珍しくありません

4.ノロウイルス( Norovirus )の症状と対策

ノロウイルス( Norovirus )は食中毒の65%を占める原因ウィルスといわれますが、小腸でウィルスが増殖する感染性胃腸炎で、潜伏期間は1-2日、腹痛、吐き気、おう吐、下痢、発熱があります。

米国厚生省(National Institutes of Health :NIH)によればノロウイルス(Norovirus)は伝染性が高く、世界中に蔓延する急性感染性胃腸炎(acute gastroenteritis)の最も一般的な原因です。リスクの高い人は幼児、高齢者、免疫不全など社会的な弱者ですが変異が激しいウィルスで強毒化すれば健康な成人も油断できません。症状は、下痢や嘔吐の急性発症が主ですが、複数回感染による免疫が期待できず死に至るアナフィラキシーショックのケースも珍しくありません。感染経路は汚染された食品や水の摂取、または感染している調理師に汚染された料理。感染者への直接接触による糞口経路を介して行われます。

日本では1997年に食中毒原因物質として指定され、第5類感染症に分類されました。2025/04/06 —日本の 感染症法では、ノロウィルスを含む感染性胃腸炎(gastroenteritis)は五類感染症(定点把握対象)に定められています。定点医療機関は毎週患者数を保健所等へ報告する義務があります。飲食業関係者などが流す情報には届け出不要とありますがフェイク情報です。

ノロウィルスは変異した毒性の強い新種出現の可能性があるそうですから油断は禁物です。このウイルスは培養ができないことと、動物感染実験ができないことで、多くのことがいまだに解明されていないといわれています。

免疫は数ヶ月で失われる上に、株の異なるウィルスには通用しません。加熱による殺菌は、60度では30分以上でも不十分ですから、100度は必要。現在、生牡蠣は食品衛生法によって海水中の細菌数が基準を満たしている海域で養殖されたもののみとされていますが、体調が悪いとき、過労時は生牡蠣の摂食、または過食は避けるべきでしょう。(国立感染症センター)。