シトルリンのニュースと解説

スイカのシトルリンはウリ科果実野菜の強精強壮成分
酷暑を凌ぐアジア人の知恵がシトルリン
アジアに学ぶ瓜(うり)食文化(続編)

2025/09/30
最終更新:2026-09-08

1.シトルリンと日本人のウリ類(gourd)消費量
店頭に10籠(かご)もあるダラット・ベトナムの冬瓜様ウリ類
ウリ類(gourd)に最も多い遊離アミノ酸のシトルリンは体内でアルギニンを生成します。
アルギニンは多くの酵素類や共働物質により窒素を合成しますが、窒素は血管外皮の筋肉を活性化させ。血流が旺盛になります。
この作用が俗に言われる、」強精強壮作用であり強いからだづくりに役立ちED、脳卒中、心筋梗塞など様々な生活習慣病の予防、治療に利用されています。

https://botanical.jp/library_view.php?library_num=66
 ウリ類(gourd)の生産、消費が多い国は北アフリカ、中東、インド、アジア諸国、欧米諸国。
特に多いのが中国系移民の多い地域。食料の世界レベルの統計は不可能でありFAO(国際連合食糧農業機関)の統計は推量ですが、ウリ類(gourd)生産と消費はキュウリがトップの約8,000万トン、次点のスイカは約6,000万トンと推定されています。
カボチャとメロンが続きますが。アジアではゴーヤーと冬瓜が欠かせません。

世界総生産量の半分以上と自称する中国の農産物統計は信頼すべき数字ではありませんが、中国本土の生産量が図抜けて多いことは確かでしょう。
その影響を受けているのが近接するベトナムや中国系住民の多いアジア諸国。
彼らが体験的に強精強壮の健康食として捉えているスイカ以外のウリ類(gourd)には冬瓜(とうがん)、ゴーヤー、南瓜(かぼちゃ)、ヘチマ類があります。

我が国のウリ類(gourd)生産はスイカ、キュウリ、メロン、ズッキーニ、かぼちゃ、甜瓜(まくわうり)、冬瓜、ゴーヤー、夕顔、瓢箪(ひょうたん)、へちま類と多様ですが、いずれも生産量、消費量が少なく、統計で見る限り、この10年間は、減ることはあっても、増えることがありません.
ウリ類は、かっては国民の食生活に深く根ざしていましたが、生産、消費共にごく少量。
現在も生産が少量多品種のために価格が高騰していることと、大都市の若者の好みでは無いようです。
ウリ類(gourd)が強靭な体を作るシトルリンの豊富な、他に類例がない健康食材であることを知らないのでしょう。
シトルリン豊富なウリ類が桁違いな強精強壮の健康食材であることを知らないのかもしれません。

2.もっと食べてほしいシトルリン豊富な冬瓜(トウガン:(Benincasa hispida)ウリ類(gourd)の冬瓜は誰でも知る世界的な食材ですが、日本の冬瓜(とうがん)の生産量はわずか12,000トン強。
主要生産地は沖縄をトップに愛知、岡山、神奈川。合計で80%くらいを占めます。
冬瓜(とうがん)は世界ではメジャーなウリ類
(gourd)であり、約1,900万トン/年と推定されていますから、日本の生産消費量はごく少量です。


食用菊(もってのほか:山形)と冬瓜(Benincasa hispida)のスープ(鶏とホタテ出汁).
この大型サイズを市街地の野菜売り場で見かけることはほとんどありません.
この大きさで生産者直売価格は5-600円くらい.(神奈川県)


日本のウリ類調理法はアジアで主流のスープや野菜煮込みが少なく、漬物や主菜の添え物程度。
欧米式が主体の食生活ならば、たまの伝統和食は健康食といわれますが、伝統和食が主体の食生活は栄養素が少なく、満足すべき肉体的パワーを生み出すのが難しいかもしれません。(現在主流のB級グルメと呼ばれるラーメン、カレーライス、とんかつ、餃子など原点が外来の料理は除きます)

伝統的な和食は個々の食材使用量が極端に少ないのが特徴的.
懐石料理の流れなのでしょう。
和食調理の欠点は、美味しくするために「水に晒す」をはじめとして、触媒を使用して徹底的に灰汁(あく)抜きをすること。(豆類や根菜の解毒目的なら必要なことです)
美しさ、美味しさを追求するあまり洗練しすぎ、栄養面では抜け殻となることが少なくありません。
瓜類のスープや肉類との煮込み。ゴーヤチャンプルーのような混載料理がお奨めです。

 
写真は国産の冬瓜.小さくとも大きくとも価格差は大きくありませんが、保存が効きますので首都圏では初冬まで販売されています.
種類がいくつもありますが、多くは皮が硬く、包丁を入れにくいのが難点。
これが普及の障害となっているのでしょう。かぼちゃの様にカットしての販売がお薦め。

 
(写真上)新潟産夕顔(ユウガオ:Lagenaria siceraria var.)      (写真上)新潟産夕顔の断面ウリ類(gourd)で冬瓜同様に著名なのは夕顔(ユウガオ:Lagenaria siceraria var)。
丸型と細長いタイプがありますが、丸型は干瓢(かんぴょう)としての消費量が圧倒的。
丸いユウガオで干瓢を作る栃木県上三川町、壬生町、下野市の生産量がユウガオ全国生産量の90%を占めます。Lagenaria siceraria var. hispida)
干瓢の生産統計は冬瓜生産量12,000トンに含まれているようです。
首都圏で手に入る料理用の細長いものは新潟県産が主です。
干瓢も薬効がありますが、ユウガオは冬瓜同様にシトルリン豊富な健康食品。
肉や野菜との炒め物がお奨めです。

3.ウリ類(gourd)のツルレイシ(ゴーヤー:Momordica charantia)
日本で栽培、販売されるゴーヤーは圧倒的にこのタイプが多い(沖縄北部) ゴーヤー(沖縄言葉)は苦瓜(にがうり)と通称されますが。本名はツルレイシ(Momordica charantia)英名はbitter melon 。


(写真上)ツルレイシ(ゴーヤー:Momordica charanti)で最も多い二つのタイプが写真上の大型タイプと写真下左右の小型タイプ.(マレーシアJBの生鮮食材市場)
完熟前の緑色果皮の時期に食します。
バナナ、マンゴー、パパイヤなどと同様に、ゴーヤーも料理に使用する場合は未熟な緑色時期が食べごろ

 
上の写真は左右共にタイでマラ・キーノックと通称される小型タイプ.育てやすいために日本でもシェード栽培用に普及しています.

完熟ゴーヤーは食材とはならないようです.
アジアの市場で売られるゴーヤには外見が異なる大中小3-4つのタイプがあります。
見た目は異なってもゴーヤーはゴーヤーで、効能に大きな相違はありません.
 
上左の写真はチカ(chi qua)と通称される小さなツルレイシ(ゴーヤー).上右はマラと呼ばれている大型。(マレーシアKLの生鮮市場)

(写真上)アジアの主流となっている苦味がやや少ない大型タイプのゴーヤー(マラ)
ゴーヤーは世界では熱帯、亜熱帯地域で約300種類が生産されていると言われ、推定生産量は約150万トン。 日本でも15年前くらいから解説不要なくらい認知度が増しましたが、日本の生産量は、これまでの10年間、減ることがあっても増えてはいません。
主産地は沖縄県(約40%)、宮崎県、鹿児島県を中心に20,000トン/年前後.

認知度が高くなったのは省エネでシェードを作るための栽培が流行したからでしょう。
日本には美味しいものがたくさんあり、伝統がある沖縄などを除くと香りや味が好みでない方が多いようです。4.ウリ類の苦みククルビタシン(Cucurbitacin)の効能は諸刃の刃 ゴーヤーの主要健康物質はシトルリン以外にテルペノイド類(Triterpenoid )
トリテルペンの一種であるステロイド系のモモルデシン(Momordicin)と<ククルビタシン(Cucurbitacin)があります。 モモルデシン(Momordicin:C30H48O4)は1984年に糖尿病を研究する邦人学者により分離されています。
テルペノイド類は毒性を持つケースも多いですが、それが医用にもなり、健康生活に深く関わっています。
トリテルペンの中心骨格はスクワレンであり、トリテルペンとコレステロールをスクワレンが体内生成する経路の発見は、医学の進歩に大きく貢献しました。
疫学的に、その独特の苦みが強靭な体を作る基といわれますが、チョット苦いと感じる程度が適量。
特にククルビタシンは強い中毒性を持ちますから、諸刃の刃(double edged sword)です。
ククルビタシンはウリ類全般に含有され、特に夕顔やへちま、ズッキーニに多いと言われます。
ゴーヤーは常食すると、主成分の強い苦みを要求する習慣性がありますが、苦みの強いゴーヤーの大量摂取は危険。避けるべきでしょう。
農水省は生産者保護のためにククルビタシンの有害性公表を避けているようですが沖縄などで中毒者や死者が発生した時期に、沖縄県衛生環境研究所が警告を発していました。
生産地では苦味を減じたゴーヤーの品種改良が続いているようですが、塩もみでの灰汁(あく)抜きしすぎもお薦めできません。
苦味が強い在来品種は癌(がん)糖尿病改善、泌尿器関連疾患対策、EDなど強精強壮の効果を求めて愛食する人が多い、非常な優れもの。

中国南部、東南アジア、インドには医療目的の摂食者が沢山います.

5.ウリ科のダントツ生産量はキュウリ(Cucumis sativus)

大型の淡白なキュウリが多い欧米で好まれるているのが小型のガーキン(Gherkin).
日本でも栽培が増えてきました。
小型タイプはアジア諸国でも好まれています(写真上:チェンマイ)。
Gherkinとはピクルスなどに使用される若いキュウリ、小さいきゅうりの総称。

  
(写真上左)マレーシア産のヘビウリ幼生(Trichosanthes .anguina:snake gourd)
(写真上右)タイ、チェンマイのヘビウリ幼生
ヘビウリは烏瓜(カラスウリ:Trichosanthes cucumeroides)と同種扱い.
東南アジアでは日本のキュウリ「しろいぼ」のように調理されます。 
 
(写真上)三浦半島産の白瓜(しろうり:Cucumis melo var.conomon)
青ウリともよばれますが白瓜は総称。写真右はマクワウリ(Cucumis melo var. makuwa)
ネットメロンのマスクメロン(Cucumis melo)などと同類に果実として扱われています。6.マイナーながらも日本市場で存在感を増しているズッキーニ(Cucurbita pepo)
(写真上)ズッキー二(zucchini::Cucurbita pepo)はイタリア語(ジョホールバル郊外の生鮮食材市場:マレーシア)
東南アジアの生鮮市場は消費量に比例して野菜が大量に売られています。
下記写真の日本のスーパーや八百屋さんのウリ類
(gourd)は海外とではボリュームが比較にならない少量.
 

日本のズッキーニ市場は急増していますが、総生産量はまだ5,000トン/年くらい。
生産地はゴーヤ生産地でもある宮崎県、長野県2県で6割を越えます。
写真は上下ともに日本の八百屋さん(神奈川県).これでも量や種類が多いほう.

  
上の写真はズッキーニの花.季節には栄養価の高い花(写真左)を食べるのがお奨め写真右と写真下右は標準的なズッキーニ(zucchini)
 
写真上左はペポカボチャ(Cucurbita pepo)と園芸種のコリンキー・カボチャ(Cucurbita pepo)
写真上右のズッキーニ(Cucurbita pepo)同様に学名は同じです。

写真上左はペポカボチャと瓢箪(ひょうたん)、冬瓜が混在しています。

写真上は瓢箪(ひょうたん)Lagenaria siceraria var. siceraria
夕顔(ユウガオ)(Lagenaria siceraria var)と学名が同じ同属です.
 
ペポ種カボチャ(Cucurbita pepo)       黄色がコリンキー・カボチャ(Cucurbita pepo)

 
夕顔(左)とコリンキー・カボチャ

7.ペポ種カボチャ(Cucurbita pepo)とズッキーニ(Cucurbita pepo)は同じもの
マレーシアの生鮮市場には南瓜(かぼちゃ)、冬瓜(とうがん)などウリ類(gourd)が溢れています
日本のカボチャも様々な外見のものが全国で作られていますが、生産効率の良い品種が優先されており、種類は一つ.ペポカボチャ(Cucurbita pepo)です。
特筆すべきは種苗会社サカタ園芸と東北の種苗企業が、生食が出来るペポカボチャを通称コリンキー・ペポカボチャ(Cucurbita pepo)として開発したこと.


栄養価が高いカボチャはもっと消費量が増えて良い野菜。

日本の総生産量(そうせいさんりょう)は214,100トン/2009かぼちゃは北海道で4割以上が生産されています。
色形が様々ですから多品種に見えますがルーツはわずか。
日本の生産品種の大部分は西洋カボチャ(スクヮッシュ::squash:Cucurbita maxima)
マイナーな東洋カボチャ(Cucurbita moschata)は関西中心。
日本で米語のパンプキン(pumpkin)と呼ばれるペポカボチャ(Cucurbita maxima)はズッキーニが主です。 


写真はタイ産の小さなペポカボチャ(Cucurbita pepo)
栄養価が高いカボチャはもっと消費量が増えて良い野菜。

8. 安価でシトルリン豊富なハヤトウリ(隼人瓜:Sechium edule)
(写真上)ハヤトウリ(隼人瓜:Sechium edule).神奈川県産カヨーテ、チャヨーテ(chayote:Sechium edule)と呼ばれ、アメリカ南部のガンボスープなどで知られている中南米原産の実野菜.
日本では千成瓜、米国では野菜梨(vegetable pear)の通称も。
千成とは下記写真のように繋がって(つながって)たくさん成るからでしょう。
ハヤトウリはウリ類の数少ない有望株.
日本でも近年は栽培農家が増え、いくつかの品種があります。
ありがたいことに首都圏では晩秋、初冬でも安く販売されます.

(写真上)ハヤトウリ(隼人瓜:Sechium edule).(チェンマイ:タイ)

(写真上)ハヤトウリ(隼人瓜:Sechium edule).神奈川県産白と緑色がありますが、ポリフェノール類が豊富なのは色物。ナスを含めて健康志向の方は色物を選ぶのが良いでしょう。(写真は湘南の生鮮野菜市場)

 
味の良い可食部分(写真上右)が多く、歩留りの良い瓜です.9. シトルリンが豊富なウリ類(gourd)のマスクメロン(Cucumis melo)はフルーツの王様
マスクメロン(アールスメロン)Cucumis meloウリ科キュウリ属のメロン(Cucumis melo)の世界生産量は約3,500万トン。
統計範囲をフルーツ扱いのメロンに絞れば約2,500万トン.日本ばかりでなく世界中で交雑種、交配種が生産されています。
そのバラエティーの多さには迷うばかりですが、どれも学名はCucumis meloであり、バラエティーの俗名が付けられて流通しています。
ウリ科の特徴であるシトルリンが豊富なことは他のウリ類と変わりません.
世界総生産量の半分以上を占める(?)といわれる中国を除けばトルコ、イラン、エジプト、インドなどが主要生産国日本の主要生産地は茨城県、北海道、熊本県。約6割を占めます.
総生産量は各種合計200,000トン弱。
メロンはどこの国でも大衆的な果物。日本のような超高価なマスクメロンはありません。

世界の果実生産総量の上位にはスイカ、バナナ、ブドウ(約7,500万トン)に、リンゴ、マンゴー、キウイなどが並びますが、生産数量と販売総額は異なり、世界的ランキングを算出することは不可能です。

日本で超高価なマスクメロン(アールスメロン)は網目のあるReticulatus グループの総称.
アールスメロンは静岡県が10,000トン弱の生産でトップ。茨城県の鉾田が続きます。
美味しい味覚と優雅な風格で世界の多くの人がマスクメロンをエクセレント・フルーツに推挙します。マスクメロンはフルーツの王様なのです。

米国はスイカ生産が約168万トン/2024ありますから、淡泊なハニデューやカンタローブは約60万トンまで減少しているようです。

(生鮮食材研究家:しらす・さぶろう)