第百二十八話:「冬の味覚の王者・寒鰤」
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師走のご挨拶 中国武漢発から2年に亘り世界を翻弄して来た新型コロナウイルス感染症が、我が日本では、やっと落ち着きを見せて来たところです。そこに、またオミクロン株という新たな変異株問題が海外から報じられ、国には、迅速且つ効果的な水際対策に万全を期して頂きたいものです。 ここ2年間、多種多様なウイルス対策を学習し、実行してきましたが、中でも注目されたのは「免疫力」を高める食事のことです。生理医学的に実証されたのが、「ケルセチン」含有食品で、抗ウイルス(併せて、抗ガン)効果が高いそうです。その代表的なものが、赤玉葱、赤ブドウ、赤ワイン、リンゴ、ラズベリー、アスパラガス、モロヘイヤ、ニラ、ニンニク、ショウガ等で、いずれも血液循環を促し、体を芯から温めてくれる食材です。血流促進と言えば、冬の味覚の王者・ブリなので、今回の歳時記は「寒鰤」の話です。ご健勝を祈り上げます。ケン幸田
冬の海産物と言えば、カニ、アンコウ、アマエビなども美味として人気がありますが、何と言っても、脂が乗って身も引き締まった「寒ブリ」が最高で、刺身、鮨、塩焼き、照り焼き、ブリ大根に代表される煮物、そして鰤しゃぶと、食べ方も豊富です。回遊魚の鰤は、モジャコ(藻雑魚)と呼ばれる稚魚が九州の南西沿岸海域で生まれ、2~3年で50cm」に育つと、大回遊が始まり、最適水温を求め、夏は北上、冬は南下を繰り返しつつ成長し、4~5年かけて80cm6キロ以上となり、秋ごろからは北海道沿岸海域で、産卵に備え餌を活発に摂り(荒食い)、冬になると丸太の様に太り、日本海沿岸を南下します。 この際水揚げされる天然親鰤を「寒鰤」と称し、富山湾の氷見鰤、佐渡の一番鰤、玄海島沖の姫鰤、鹿児島の桜鰤などは有名ブランドとなっています。昔は、大船渡や熊野灘の鰤漁も盛んでしたが、最近の太平洋岸は養殖が増えて、季節を問わず魅力ある美味が提供されております。因みに鰤は、世界でも日本近海にしか居ない魚なので、「国魚」と呼ぶ一派もあり、同じブリ属の、カンパチ、ヒラマサを含めて「ブリ御三家」とも言われます。 寒鰤は紅一筋を身にかざる 山口青邨 ブリは成長に連れて呼び名を変える「出世魚」として、縁起の良い魚として扱われ、タイと共に門出や転機を祝う際や正月のお節料理としても(主として西日本では)数百年間を超えて、日本人に重宝されてきましたが、特に必須アミノ酸を多量に含む高栄養健康食品としても、医者や栄養士の推奨の的となっております。 血流を促進するDHA,EPAや脂溶性ビタミンEを豊富に含み、中性脂肪、悪玉コレステロールを減らし、動脈硬化や高血圧を予防すると共に、疲労回復に良いビタミンBや貧血予防の鉄分もあり、アルコール分解酵素のナイアシンが肝臓機能を改善してくれます。出世魚の呼称は、全国各地で十数通りあると言われますが、その代表例としては成長順に、東京のワカシ、イナダ、ワラサ、ブリ、大阪のワカナ(ツバス)、ハマチ、メジロ、ブリ、富山のツバイソ、フクラギ、ガント、ぶり、福岡のツバス、ヤズ、ワラサ、ブリを挙げておきます。 ひまの駒鞭うつ鰤の行衛かな 池西言水 なお、「鰤起し」という季語がありますが、寒鰤は雪が降るたびに美味となると言われ、鰤漁が盛んになる冬の雷が「寝た鰤を起こす」豊漁の前兆と言われるもので、関連する冬の季語としては、通常は夏の季語である雷についても「寒雷」「冬の雷」や、雪が降る前に雷が鳴るのを「雪起し」という用語に相通じるものがあります。 佐渡の上に日矢旺んなり鰤起し 岸田稚魚 |
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