7月6日に米国の担当省庁であるFDA長官スティーブン・ハーン(Steaven Hahn)博士が記者会見し「ワクチン完成は、まだ見通しさえ立っていない」と否定、経済活動再開を急ぐ先進国の政財界が「意図的な楽観論」を自国民向けに連発し続けることへの抵抗であり警告だったのでしょうが、日本のメディアは目立った報道はしませんでした。2. 開発競争トップを走る英国の挫折英国政府の公式声明は第二次ジョンソン内閣が設立したワクチン開発特別チーム(Vaccine Taskforce)によるものでした。 10月27日に座長のケイト・ビンガム(Kate Bingam)氏が英有力医学誌ランセット(Lancet)誌上にワクチン開発特別チームの公式見解として掲載したものです。 声明内容要旨は 「第一世代といえるSARS-CoV-2 ワクチン(治験中断中のアストラゼネガ社、ファイザー社など)は不完全なもので終わるだろう(most likely be imperfect)」 「感染防止というより症状の制御に役立つだろうが、それは短時間であり、誰にもというわけでもない」 (reducing symptoms rather than preventing infection and that they "might not work for everyone or for long」 「現状では構造や性質の全貌が明らかでないSARS-CoV-2も、その解明(characterisation studies)が進めば2021年の第一4半期にはある程度の性能のワクチンが完成するかもしれないが、非常に限られた量の供給しかできないだろう」 チームの声明は英オックスフォード大とアストラゼネカ社が開始していた治験参加者にブラジルで死亡者が出たという10月21日の*ANVISAの発表と無関係ではないとも思われます。 死亡したのはリオデジャネイロの若い男性医師。 6月から8千人規模で実施されている治験に参加していたといわれます。 *ANVISA:アメリカのFDAに相当するブラジル国家衛生監督庁The National Health Surveillance Agency (Agência Nacional de Vigilância Sanitária) *ケイト・ビンガム女史(Kate Bingam): 1991年より専門知識を生かしSV Life Sciencesの経営パートナー。 SV Life Sciences は旧Schroder Ventures Life Sciences。 ボストン、サンフランシスコ、ロンドンを本拠とし、世界的な規模で医療関係ベンチャーに投資する米国マサチューセッツ州ボストンの投資ファンド。3. 7月頃までは早期完成を公言していた英国のワクチン専門家4月にはオックスフォード大学の*ギルバート教授がSARS-CoV-2 ワクチン開発は、資金さえ投入すれば9月には完成できるだろうと楽観的なコメント。 7月頃には英議会の下院に属する委員会の科学技術有識者会議(Science and Technology Select Committee)でワクチン開発特別チーム座長の*ケイト・ビンガム女史が「オックスフォード大学とワクチン学教授の*サラ・ギルバート博士(Sarah Catherine Gilbert)は世界で最も進んだSARS-CoV-2 ワクチンを開発中であり、このワクチンは冬に向かってインフルエンザ・コロナウィルス防御にも役立つだろう」と話していました。