感染症の海外ニュースと解説

日本政府がSARS-CoV-2ワクチンの国民皆接種を急ぐ何故?
世界的な開発の遅れと大国、富裕国のエゴが進行中の新コロナワクチン争奪戦

2020/10/03
最終更新:2026-09-17


米国CDCは感染症蔓延防止のため、世界中のネットワークから情報収集をしています

CDC1.「無償でワクチンを全国民に接種、事故責任は国」という政策の背景最近になり日本の新政府が全国民にSARS-CoV-2ワクチンを無償接種するとの報道が度々ありますが、数百億円かけて無償で配られたアベノマスクと同様に国民が喜ぶかどうかはわかりません。

費用は接種技術料を含めれば5.000憶円をはるかに超えます。
加えて安全性に関して事故が起きれば「全責任は政府がとる」そうです。
全責任とは副作用の治療や死亡賠償に要する経費とワクチン・メーカーが被る賠償費などの経済的負担のことでしょう。

このような巨額の支出を伴う国民皆接種の政治判断は「経済活性化最優先」
「東京オリンピック開催」が背景にあるからとしか考えられません。
安全性への疑義は脇において、外出自粛の完全撤廃とオリンピック開催のために全国民にワクチンを接種したいという政治判断が透けて見えます。
 死亡事故や一生涯の後遺症をお金で解決できるのか、この政治判断をどう受け取るかは、内乱や外敵の侵略の有無など国情により異なると思いますが、平和な日本では否定が多いでしょう。
 驚くべきは日本では法改正をしての強制接種までがスケジュールにあるらしいことです。
一応は「安全性が確保出来たら」との前提条件があるそうですが、新ワクチンの安全性が短期間に確保ができるはずがありません。
この記事でお伝えするワクチン開発会社の動向を知れば一目瞭然です。
 ワクチン接種は皆接種が理想であり、漏れが大きければ効果が薄くなるのは事実ですが、事情が分からない一般国民に無償という甘い言葉で国家が「国民皆接種」に誘うのは、命の価値を巡る国民と政治に乖離があるとしか考えられません。2. ワクチン開発会社がこだわる製造者責任の免責約款
CDCいずれにせよ年末から来年初旬には世界的な製薬会社の「いやいや」SARS-CoV-2ワクチンのレリースが始まるでしょう。

製薬会社は完成をせかす国々に、「危険を承知での購入ならば、どうぞ」
「副作用(副反応)問題、有用性問題が解決しているわけではありませんよ」
「それを承知するならば免責契約書にサインしてください」
こんな条件を受け入れて接種を急ぐ国々に開発途上のSARS-CoV-2ワクチンが出回る予定です。
被接種者の多くは「レリースは安全が確認されたから」と誤解するでしょう。
「ワクチン完成後も長期化するSirs-CoV2の猛威ファイザー社の早すぎたニューズレリースが与えた波紋」
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=708
 治験を中断中のアストラゼネガ社は各国から大量の受注をしていますが、共同通信のロイター社(Reuters:7月30日)は「ほとんどの納入先(国)からはSARS-CoV-2ワクチンの製造者責任を問われることがない」とAZ社には免責約款があることを伝えています。
「AstraZeneca to be exempt from coronavirus vaccine liability claims in most countries」

また米国には故意の不正行為を除いて、緊急時のワクチンや治療薬の事故は損害賠償責任から免責する法律があります。
「Public Readiness and Emergency Preparedness Act:PREP Act」
 危険を承知で接種しなければならない人、軍隊、警察、医療、行政などに携わるスタッフはやむを得ないと思われますが、国民は個々で思考が異なりますから新ワクチンの負の部分を明らかにして、判断は自由意志に任せるべきでしょう。

貧しい発展途上国に無償提供と称してワクチンや治療薬の治験を行う富裕先進国の人命軽視行為は多くの人々に非難、否定されていますが、「無償接種」と声高に恩に着せる政府の手法にも通じるものがあります。3. 大国、富裕国のエゴが進行中の新コロナワクチン争奪戦武漢発の新コロナウィルスSARS-CoV-2が世界に拡散して丸9か月が経過、感染者3.5 千万人、死者100万人の大台を超えても終息する兆しがありません。
遺伝子が解析されても正体がつかみ切れぬ新ウィルスに振り回されて、ワクチン開発にてこずる現状を誰が予言したでしょうか。
世界各国は長引くウィルスとの戦いで疲弊した経済を放置できず結局は経済活性化優先の動きが広まるようになりました。
 SARS-CoV-2ワクチンも安全性の確認を待つ時間的余裕がないために見切り発車せざるを得ない状況ですが、肝心の配布ルール決めが暗礁に乗り上げています。
 通常ならば指導力を発揮する国連も、当初から世界に先駆けて存在感を示してきたトランプ大統領との断絶が大きな障害となり、各国の協調が得られません。
有力なワクチン開発が進んでいる国、富裕国、軍事、経済大国がばらばらに動いているのが現状です。
 世界各国の報道からは多くの人がSARS-CoV-2のワクチン開発を人類共通の課題として、連帯感を持って期待していることが伝わりますが、同時に各国政府のSARS-CoV-2ワクチン独占買い付けも進んでおり富裕国や大国が国家主義のエゴを前面に出す危険性が大きくなっています。
SARS-CoV-2ワクチン治験中断はワクチンの国際分配に悪影響トランプ大統領と安倍前首相の役割」
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=701
 4. 機能していないワクチン開発、配給の国際同盟(協同組合)新コロナウィルスSARS-CoV-2のワクチンはこれまでに経験のない世界規模の膨大な量が必要ですが、全世界に公平な配分を求める国際的な要望が成就できるのか、全くの不透明。
最大の問題点は国際的な「ワクチン共同開発」、「ワクチン分配」を計るWHO、GAVI, COVAXなどの国際的協同組合(同盟)組織と、新コロナワクチン調達にリーダーシップを握るトランプ・アメリカとのすれ違いです。
すれ違いというよりトランプ大統領の下ではWHOが米国と断絶状態であり、国際協調の先行きは暗雲に覆われたまま。
 トランプ・アメリカはWHOを完全に否定し、*協同組合(GAVIとCOVAX)にも加入せずに独自にワクチンの開発と確保に取り組んでいます。
大統領は着々と主要メーカーとの絆を築き上げていますが、その背景にはマイクロソフト、アマゾン、グーグル、テスラなどを筆頭に最先端IT技術の数々で、世界の富を集中させつつある巨大な資金力があります。
すでにトランプ・アメリカを除外して世界のSARS-CoV-2ワクチン動向は語れません。
トランプ・アメリカがWHOやGAVIを無視する動きには、人事や不明瞭な資金使途など、それなりに納得できる理由も多々ありますが、協同組合に加入している日本の立場は微妙です。
安倍前首相がトランプ大統領と格別に親密で足並みを揃えた日米外交関係だからです。

 *GAVI:感染症ワクチンと予防接種のための世界同盟*COVAX:新コロナウィルス対策に富裕諸国より拠出金を集めてワクチンを共同購入し配分する172国の同盟組織。
当初はGAVIの連携組織として低所得92の加盟国に配分する*CEPI: Coalition for Epidemic Preparedness InnovationsSARS-CoV-2ワクチンに限らず世界的感染症の防疫のための資金を集める国際団体。
WHOとは距離のある感染症流行対策イノベーション連合(*協同組合には中国、ロシアも不参加ですが、経済的余力は小さく、開発しているワクチンは安全性の問題が大きいために、WHOや先進諸国は評価をしていません。)
国際的な協同組合であるGAVIとCOVAXは低所得の92か国に最優先で3%を配分することを表明しています。
これは急を要する医療関係者などの分。
供給量が増えれば全参加国に最低でも20%の供給が必要としていますが、大国、富裕国の協力なしに達成するのは難しいでしょう。5. 米国が確保した新ワクチンのセカンドサプライソース世界中の大学、研究所、製薬、創薬企業が200か所以上で新ウィルスSARS-CoV-2のワクチンの開発を進めているといわれますが実現性の観点から判断すれば、中国、ロシア、ドイツを含めても10数か所くらいに絞られます。
ワクチンは大量に使用されるほど、問題点や安全性のデータが得られますから承認ワクチンの種類は(生産量に限りがなければ)少ないほど良いでしょう。
現実的には世界が認め、使用するSARS-CoV-2ワクチンは多くの治験が終了する段階になれば、いくつも残っていないでしょう。
 トランプ・アメリカはアストラゼネガ(Astra Zeneca:AZ)社の「AZD1222」を国民が必要とするSARS-CoV-2ワクチンの主調達先としていますが、緊急を要する軍用は国産限定です。

国防関連ワクチンの調達先は、生産量が増え、安全性が確認されれば、民生用のセカンドサプライソースに転じることもできます。
3月のホワイトハウス会議で民生、軍用としてトランプ・アメリカがターゲットとしていたのは次世代ワクチンの「INO-4800」を開発しているイノビオ社(Inovio Pharmaceuticals)と「mRNA-1273」のモデルナ(モダーナ)社(Moderna Therapeutics)
 ホワイトハウス会議で次世代ワクチンは安全性の確保に相当な時間を要することを知ったトランプ・アメリカはAZ社に投資をして予約注文しましたが、軍用には次世代ワクチンの「INO-4800」「mRNA-1273」に期待しています。
*次世代ワクチンとは遺伝子バンクの設計図(ブループリント:the virus’s genetic code)で合成したターゲット・ウィルスを体内に送りこみ、標的細胞で作られる抗原に、人体の免疫力が反応して作られる抗体を利用してウィルスを壊滅するRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤:RNA-dependent RNA polymerase inhibitor。
 次世代ワクチンの製法は今回のような大規模な感染症には未来につながる重要な技術ですが、現段階では効能や安全性の確認が実験室や少人数の治験で試されているだけです。
数千万人を超える接種に関しては全く未知であり、長期間の治験を経なければ結果はだれにもわかりません。
(安全性が比較的高い従来の鶏卵利用ワクチン製造法は完成に6か月が必要です。
有精鶏卵を大量生産する秘密養鶏場を多数所持しているといわれる米国でも短時間で必要量を確保するのは困難で、緊急の有事に不適当なのは事実です)6. 日本が予約したセカンドソースはファイザーの「BNT162」民生に限ればトランプ陣営の第3の期待はドイツのビオンテック社(バイオンテック:BioNTech)の「BNT162」
トランプ大統領がホワイトハウス会議で懐柔、買収に失敗した同じドイツのキュアバック(Curevac)社と次世代ワクチン開発では双璧で世界をリードしています。

「トランプ大統領が招集したCOVID-19緊急ワクチン会議」
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=677
 世界企業ファイザー(Pfizer Inc)はビオンテックBioNTech)とコラボし、1,000憶円以上の開発費をつぎ込んでSARS-CoV-2のワクチン*「BNT162」を開発したといわれ、トランプ大統領からは最高度の信頼を得ています。
すでに日本の厚生労働省は「AZD1222」と並行して「BNT162」の大量購入契約をしていますが、これもトランプ・アメリカに追従したのでしょう。
米国にとっての問題は「BNT162」が先発していた中国武漢の製薬会社とも、ある部分でコラボして開発されていること。
米国がセカンドソースとするかどうかは未定です。
 ファイザー社は1800年代にドイツ人がアメリカで創業した製薬会社。
ポリオ・ワクチンやペニシリンの量産法開発で世界一となりました。
ファイザーの社長はホワイトハウス会談で、次世代ワクチンの将来性を認めながらも安全性確認には十分な時間が必要との慎重な発言をしたといわれます。
*「BNT162」:
ビオンテック社はmRNA-based 創薬を目指している会社の一つ。
細胞のリポソームに内包させたmRNAによって抗原や新しい抗体を発現させる技術を持ち、癌治療などを目指しています。7. ワクチン分配計画に異変が起きる世界的な開発の遅れ「AZD1222」治験中断により30億人分を賄えると豪語していたアストラゼネガ社のプランは波乱が予想されていますが、生産計画が大幅に狂うことで、予約をしていた富裕国中心の各国は契約変更を覚悟しておかねばなりません。
世界のワクチン開発研究者が新コロナウィルス・ワクチン開発に苦戦している情報が漏れ聞こえるようになったのは7月ごろ。
9月になり「AZD1222」治験中断が表面化しましたが、結局は来年中ごろまである程度の安全性を持つ一般向けのワクチンは現れないということのようです。
むろん、そのワクチンの安全性は想定の率でしかなく、インフルエンザ程度の事故率に至るのは、いつになるかは推定も困難です。
 中国のカンシノ・バイオロジクス(康希諾生物)が開発するワクチン「Ad5 nCOV」とロシアの国立ガマレヤ研究所が開発するワクチン「スプートニクV」はタイプこそ違うものの、アストラゼネカ社と同様にアデノウイルスを運び屋に使っている点が共通していますが、治験のトラブルが漏れ聞こえてきています。
中国、ロシアは軍用として、安全性よりスピードを重視していますから、当分の間は途上国が期待する民生用のワクチンとはならないでしょう。8. ワクチン交渉の鍵はトランプ大統領と安倍前首相が築いた親交日本のワクチン開発は大きく遅れており、今回のパンデミックには間に合いませんから、ワクチン接種を希望する国民と職業上接種が必須な人の需要約6,000万人分は輸入やライセンス生産に頼るしかありません。
 日本は二股かけての予約もしていますが、治験が滞る現状では予約分の全量が予定日までに納入されるとは考えないほうが良いでしょう。
また同盟組合に参加している国として、弱者を切り捨てることはできませんからその配分にも配慮が必要です。
大統領選挙(トランプ氏のCOVID-19感染の病状も)の結果にもよりますが、トランプ大統領と安倍前首相が築いた親交が、今後のワクチン取得に生かされなければ、公平を主張する国々、割り込みを計る国々、の圧力を和らげるのは至難であり、波風が高くなるのは必至。
 独仏のように独自開発能力のある国々は別として、日本と同様に自国でワクチンを開発できない欧米諸国は、今でこそAZ社と同様な手法でワクチンを製造する中国のカンシノ社やロシアのガマレヤ研究所との協調路線で進んでいますが、安全性に関する配慮が全く異なる文化圏であり、命に対する思想も異なりますから、これからも中ソのワクチンに頼り続けるとは考えられません。
とすれば自由経済圏が開発したワクチンが頼られ、割り込みは必至。
 ワクチンの分配を采配できる国は巨大な資金力と実行力でパンデミック前から製造元と関わってきたトランプ・アメリカ以外にありません。
余人をもって代えがたい難しい外交交渉だからです。
民主党政権が誕生した場合でも前政権のワクチン政策を否定しないことを願うしかありません。