マサチューセッツ総合病院ハーバード・メディカルスクールアメリカ東部マサチューセッツ州ボストンにあるマサチューセッツ総合病院は全米の総合病院ランキングで2位といわれる質の高い病院。
創立1881年の全米で最も古い、3つの病院の一つです。
ハーバード・メディカルスクールの関連医療機関としても知られ、最大の特徴は病院ベースの医学研究で世界一といわれていること。
昨年2019年の研究費予算は1,000億円を超えています。
同病院のハリス内科医(Dr. Stuart Harris)によれば「窒素ガス吸入は血管を広げ、血を固まりにくくする効果がありますが、ウィルスを殺すことも可能です」
「すでに3月時点で5例の集中治療室や人工呼吸器使用の重症患者に実施をして良い結果を得ていますので、治験を続ける」とのこと。
米国は死者が11万人を超えてピンチを迎えている時期にかかわらず治療薬やワクチンの戦略が決まったこともあり人命救助最優先で副作用や後遺症を無視して戦ってきたこれまでと異なり「安全性の高い治療法」を模索しており、窒素ガス吸入はその有力な候補となるでしょう。
*マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital:MGH)5. マウント・シナイ・アイカーン医科大学の窒素ガス治療全米最多数の新コロナ感染者、死者数となっているニューヨーク市で感染者の治療にあたっているのはニューヨーク市内のマウント・シナイ・アイカーン医科大学。
新ウィルスに呼吸器を冒された感染者は肺の血管内皮や体組織の細い血管に血栓(血塊:blood clots)を作ることが特徴的と捉え、その*抗凝固療法(anticoagulation)とカテーテルにより薬物を搬入しての除去(thrombolysis)を主要療法として様々な手法を試みていますが、人工呼吸器を使用する患者には窒素ガス吸入で救命率を高めているそうです。
重篤患者が運ばれる臨床現場では毎日のように多数の死者が出ているために試行されている治療法の総括はまだですが、窒素ガスの使用、魚油のEPA投与などを副作用が少ない有力な候補としています。
*抗凝固療法:anticoagulation肝臓で産生されるプラスミノーゲンの多くは血漿中に存在し、活性因子により、タンパク質分解酵素プラスミン(plasmin)となります。
プラスミンは活性化することで血栓を溶かし、血流を元に戻します。
不活性化しているプラスミンを活性化して、血栓の繊維質フィブリンを溶かし、血流を復活させるプラスミノーゲン活性化因子は心臓や肺などの組織から分泌されます。
合成された血栓溶解医薬品にはプラスミノーゲン活性化因子増強剤のtPA:tissue plasminogen activator がありますが重症患者の救命率が高いとは言えないようです。 *プラスミノーゲン:plasminogen*マウント・シナイ・アイカーン医科大学(Icahn School of Medicine at Mount Sinai)
マンハッタンのミッドタウンに施設がある全米でトップランクの医科大学。
呼吸器治療の研究に関してはユダヤ教徒が1899年創立した米国一とも言われる呼吸器疾患専門病院のユダヤ健康病院(National Jewish Health:コロラド州デンバー)と提携しMount Sinai – National Jewish Health Respiratory Instituteを形成していますシナイ山(Mount Sinai)はシナイ半島(エジプト)にある、モーセが神から十戒を授かったとされる山。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教などが聖地としています。6. 一酸化窒素(NO)の体内合成と血管弛緩の効果 「Nitric oxide as a signaling molecule in the vascular system」
窒素は食品加工、医療、農業園芸肥料を始め多岐な産業で使用され、酸素と並び、非常に身近な元素ですが、上記のように人間の体内で生命維持に必須な働きをしていることが解明されたのは1986年。比較的最近のことです。
多くの人々が、窒素の重要な働きを知ることになったのは*1998年のノーベル賞受賞で、一酸化窒素ガスの解説がマスコミを賑わしたことが大きいですが、永らく窒素ガスを研究しその機能を利用したED治療剤(バイアグラ:ファイザー社)が同時期に出現したことも見逃せません。
*1998年ノーベル医学生理学賞:
「シグナル伝達物質としての一酸化窒素(NO)の発見:
Nitric oxide as a signaling molecule in the vascular system」
F.ムラド博士(Ferid Murad)、R.F.ファーチゴット博士(Robert F. Furchgott)
L.J.イグナロ博士(Louis J. Ignarro)
肉食や油脂が中心の米国式食生活は心筋梗塞や脳卒中患者を大量に産みだす副作用に悩んでいますが、医学データの蓄積と医学機器の進歩が顕著となった1970年代ごろより血管、血流医学は飛躍的な進歩を続けています。
1980年には*血管内皮由来弛緩因子(EDRF)がニューヨーク州立大学ファーチゴット博士らにより発見され、話題となりました。
その弛緩因子がNOガスのことであること(イコールというより、間接的に)が判明したのは1986年でした。
*血管内皮由来弛緩因子(endothelial cell derived relaxing factor:EDRF)7. グアニル酸シクラーゼと血管内皮由来弛緩因子NOが血管平滑筋を弛緩させる作用機序は、ガス状元素のNOが平滑筋細胞の内部へ移動し、酵素のグアニル酸シクラーゼに平滑筋を弛緩させる*サイクリックGMPを生成させることです。
このメカニズムを発見したのがムラド博士(下記)。
*(やや詳細)
グアニル酸シクラーゼには神経や血管細胞内のグアノシン三リン酸*(GTP)をサイクリックGMP(cGMP:環状グアノシン一燐酸)やエネルギーを産生するATP(アデノシン三燐酸) に変換させる機能があります。
これは非常に重要な作用の発見であり、cGMP合成に関わる酵素の可溶性グアニル酸シクラーゼの作用を発見していたテキサス大学のムラド教授はノーベル賞を共同受賞しました。
*グアノシン三リン酸*(GTP:guanosine triphosphate)
*サイクリックGMP(cGMP:環状グアノシン一燐酸:guanosine monophosphate)
*可溶性グアニル酸シクラーゼ(guanyl cyclase)
詳しくは下記に記載されています。
一酸化窒素合成(NO)とサイクリックジーエムピー(GMP)の産生) https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=66 8. 一酸化窒素量を増やすには一酸化窒素合成酵素(eNOS)の刺激血管内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の窒素合成はカベオリン蛋白が調節します。
カベオリン‐1(caveolin-1)は*細胞膜ラフトに局在するカベオラ(caveolae)という細胞膜構造物を構成する主要なタンパク質です。
血管内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)*の調節に関与しています。
刺激されていない内皮細胞では、eNOSがカベオリン-1と結合する事によって、その活性が抑制されたままカベオラに局在しています。
*細胞膜ラフト:筏状に存在する細胞膜の外構成物質。