長寿社会の勝ち組になるには(その21)
:キノコでガンは治せない(その2)
抗がん剤クレスチンの売り上げが激減したなぜ
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キノコは癌治療に非常に有望でしたが、結局は完治させる能力が見出せなかった歴史をもちます。ただし、半世紀近く取り組んでこられた研究者が完治の先例を作れなくとも罹病者の生活クォリティーを向上させ、有為な人生を送ることが出来るのを認めた例は多々あります。 問題はキノコ成分だけでは十分な効果が期待できず、いくつかの食生活や生活習慣による条件を満たす必要があることと、過剰摂取の安全性がいまだに不明なことです。また、これまで判明した多くの負の部分を隠し、動物実験の結果や、ねつ造した成果を誇大に宣伝、高価な値付けのキノコ製品を販売する業者が、企業の大小に関係なく、いまだに存在することも不安要素です。キノコの持つ優れた免疫賦活性作用(biological response modifiers:BRM)は抽出したβグルカンなどを精製したものや、菌糸体を培養したものでなく、食用として安価に販売されているキノコから十分得られます。キノコの効能はポリフェノールや抗酸化物質によるものとも考えられているからです。(池川哲郎キノコ博士)
1.キノコ(茸)でガン(癌)は治せない 日米では健康食品のキノコによるがん、エイズ、B、C型肝炎などの治療効果は認められていません。キノコ類が、悪性腫瘍や癌に有効かどうか、現在の日米医薬品認可基準では実証できていないからです。日本でキノコ菌から製造された医薬品はシイタケのレンチナン、かわらたけのクレスチン、スエヒロタケのソニフィランなどですが癌の完治につながる、信頼すべき、公式報告はありません。またキノコ由来の抗がん剤に米国で開発されたものはありません。 2.1,000億円市場を形成した抗がん剤クレスチンの売り上げが激減 1977年にかわらたけ菌糸体由来のクレスチンが販売された時には癌の特効薬として大きな期待がもたれ、一時は年間600億円から一説によれば末端では1,000億円の市場が形成されました。その後臨床例が増えるに連れて、単独投与では完治するケースが無い?など、種々の問題点が指摘されるようになり、レンチナン、ソニフィランなどを含めた現在の市場規模は10分の1以下といわれます。レンチナンなどの医薬品開発会社もキノコ類に関しては健康食品市場を志向しており、医薬品の新薬は現在のところありません。世界中の多数の研究者が断片的に発表するキノコの効能には現在も優れた論文が数多くありますが、その研究が医薬品製造までに発展しない原因はどこにあるのか。動物実験では良い結果が得られるが、人間が摂取した場合は初期にみられたがん細胞減少など良い結果に継続性がなく、がん細胞が消滅したと認められた実例が見出せなかったからです。 「医薬品として、効能を推定した単純多糖体のグルカンなど天然キノコの特定成分を抽出しても、投与初期を除き、あまり良い結果が得られなくなる」このような現実から医薬品としての発展は行き詰まりを見せていますが、健康食品としては数多くの製品が出回っています。 3.キノコ・エキスは免疫力を強化する保健食品
健康食品としてはシイタケ(椎茸)レイシ(霊芝:サルノコシカケ、マンネンタケ)、カワラタケ(川原茸)、アガリクス・ブラゼイ(ブラジル茸)、ハナビラタケ(花びら茸)、マイタケ(舞茸)、メシマコブ、ブクリョウ(茯苓)などを中心に数多くの製品があります。免疫力強化やホモシステイン除去など予防医学的に優れた効果を示すことは疫学的にも有効例があり、保健食品としてキノコ類を摂食することに異論を唱える学者は多くはありませんがキノコエキス由来のレンチナンなど医薬品といえども、癌完治の信頼すべき治療例はありません。
4.クレスチン(Krestin:PSK):キノコ菌から製造された日本の医薬品
クレスチンは、かわらたけ菌糸体由来の経口薬クレハ化学が開発。1977年に三共製薬から販売されています。結核菌から製造した丸山ワクチンと同時期に研究開発されていたために、厚生省の認可をめぐって騒動となったこともあり、広く知られた抗がん剤でした。クレスチンは経口剤のために使いやすく、かつ健康保険適用薬としてリストアップされたために、一時は年間600億円以上を売り上げて、保険財政を圧迫したと言われる伝説的な医薬品です。匹敵する天然素材は北方系針葉樹の一位(いちい)の樹脂から作られたタキソールのみです。クレスチン同様にがん撲滅としての位置づけは否定されています. 現在でもクレスチンは製造されています。癌を治療する医薬品としては、胃がん、直腸がん、肺がん治療の化学療法や、放射線治療の副作用緩和に補助的な使用をすることがあるようです。医薬品としての成長が期待できなくなってからのクレハは健康食品として2003年9月に発売した「マツマックス」に注力していますが、販売チャネルは主として口コミやネット(メーカーは直接販売しません)。抗がん性をマスメディアで謳うわけにはいかないからでしょう。マツマックスはマツタケの菌糸体をタンク培養させたもので、菌糸体はM6271株と名付けられています。天然マツタケはキノコの中でも保健効果が高いと言われています。ただし菌糸体のタンク培養と天然とでは効能が異なることをキノコ研究の第一人者である池川博士は指摘しています。 5.レンチナン(Lentinan):キノコ菌から製造された日本の医薬品
レンチナンはシイタケ菌糸体由来の注射薬味の素が開発、1986年4月に大鵬薬品から抗がん剤として販売されました。現在は胃癌治療の化学療法に補助的に使用されることが多いようです。 レンチナンを使ったマウス実験で、心筋障害の原因となるなど、グルカン多糖体の経口摂食で心筋に悪影響を与える作用が見出されているとしてキノコ健康食品の過剰摂取に警鐘を鳴らす有力な学説がありますが、先述の池川哲郎博士によればレンチナンの副作用として、「胸部圧迫感などが報告されているので、心筋障害との関係も否定できない」との報告しています。レンチナンを製造した味の素は、その低迷もあり、シイタケエキス健康食品のミセラピスト(商品名)を開発し、2003年から販売しています。しいたけのβグルカンを低分子化して吸収を改善したといわれますが、新たな効能が見出されたわけではありません。
6.ソニフィラン(Sonifilan:SPG):キノコ菌から製造された日本の医薬品 スエヒロタケ菌糸体由来多糖類の注射薬。成分名はシゾフィラン(Sizofiran)科研製薬が開発。1986年8月に同社により販売開始されました。子宮頸癌治療の補助薬として使用されることがあるようです。 7.キノコに含まれるβ-グルカンの有効性には疑義もあります
天然キノコ由来単純多糖体のβ-グルカンと、酵母由来のものは、構造上それぞれの特徴があります。さらに同じキノコでも、マイタケ、しいたけ、アガリクス・ブラゼイでは著しく構造が異なり、経口投与で有効なきのこ類には、グルカンなどの単純多糖体とは異なる成分があることが推察されています。がん抑制の作用機能の一つは高分子ポリフェノール免疫賦活作用によるものと考えられますが、抗酸化作用も考えられると池川哲郎博士は述べています。 |
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