ブドウ・レスベラトロールが寄与するコラーゲンの体内生成:
NF-kB(カッパB核因子)の功罪
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1.ブドウ・レスベラトロールが皮膚老化の修復に寄与する NF-kB(Nuclear Factor kappa B:カッパB核因子)は免疫細胞、脂肪細胞より産生し、癌(がん)、皮膚老化、生活習慣病に関与する遺伝子転写因子として、この分野の研究者には広く知られた物質。この悪玉要素の多い物質の制御に関して、「NF-kB(カッパB核因子)の活性をブドウ・レスベラトロールが抑制する」という研究が米国で発表されています。ブドウ・レスベラトロールは癌(がん)、心臓血管病、糖尿病ばかりでなく、美肌の維持、再生にも働く、多機能ポリフェノールとして期待されている抗酸化物質。コラーゲンの体内生成にも深くかかわります。研究詳細は異分野の方には難解なために省略しますが、本研究はニューメキシコ州アルバカーキのニューメキシコ大学医学部(生化学、分子生物学部門)から発表され、著者はゴンザレスとオーランド両氏(Amanda M Gonzales &Robert A Orlando)。ニューメキシコ大学医学部は全米でも有力な研究機関で、上位にランクされています。研究論文は米国の「栄養と代謝2008年6月号」(Nutrition & Metabolism 2008)に掲載されました。 2.皮膚老化の主原因は加齢と光老化 皮膚老化の主原因は大きく分けて加齢と、光老化(photoaging)といわれる、UVB紫外線(Ultra-violet rays-B)によるもの。加齢と光老化による皮膚の皺(しわ)、たるみ、色素沈着は、皮膚に存在する線維芽細胞成長因子(bFGF:fibroblast growth factor)、皮膚基底酵素(MMP:matrixmetalloprotease)(後述)の過剰増殖が原因となります。健康な皮膚の生成バランスを崩す線維芽細胞成長因子(bFGF)はたんぱく質の複合体です。 健康な皮膚の生成バランスを崩すbFGF(線維芽細胞成長因子)、MMP(皮膚基底酵素)の過剰増殖には、免疫たんぱく質のNF-kB(Nuclear Factor kappa B:カッパB核因子)の活性化が関わることが知られており、この活性化を適正に制御することが肌のアンチ・エージング、美肌への近道です。 3.NF-κB (Nuclear Factor kappa B)と呼ばれるカッパB核因子とは 皮膚の老化や癌(がん)発現にも関係することが判明しているNF-kB(カッパB核因子)はたんぱく質の複合体。NF-kB(カッパB核因子)は、真核生物の細胞に含まれる遺伝子転写因子として知られ、細胞の増殖、細胞の自然死(アポトーシス)、遺伝子転写など様々な現象に関わる物質です。 これまでの研究ではNF-kB(カッパB核因子)は心臓血管病、糖尿病、癌、悪性腫瘍、クローン病、関節リュウマチ、免疫不全など数多くの免疫系、炎症系の難病への関与が示唆されています。 NF-kB(カッパB核因子)はノーベル生理学賞を1975年に受賞したデービット・ボルティモア博士(David Baltimore)らが発見した(?)といわれます。デービット・ボルティモア博士は論文捏造などで物議をかもし、毀誉褒貶のある学者ですが、現在は発見者となっているようです。ボルティモア博士は最近(2006年)までカリフォルニア工科大学(California Institute of Technology:Caltech)の学長を務めていました。 4.コラーゲンの体内産生を促すbFGF(線維芽細胞成長因子)とは 皮膚の生成バランスを崩す線維芽細胞(fibroblast)はコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などを産生する重要細胞ですが、線維芽細胞の活性にかかわるbFGF(fibroblast growth factor:線維芽細胞成長因子)は皮膚に潤いを持たせる善玉作用だけでなく、悪玉の角化細胞(ケラチノサイト:keratinocyte)、色素細胞(メラノサイト)の生成促進にも関わります。bFGF(線維芽細胞成長因子)には20種を超える近縁因子がありますが、酸性線維芽細胞成長因子(FGF-1)と塩基性線維芽細胞成長因子(FGF-2)の研究が特に進んでいます。 5.コラーゲン繊維を分解するMMP(皮膚基底酵素)とは 皮膚老化に関わるマトリックスメタロプロテアーゼと呼ばれるMMP(matrixmetalloprotease:皮膚基底酵素)には幾つかの種類がありますが、MMP-1は真皮の1型コラーゲン繊維を分解して、皺(しわ)の原因となります。マトリックスとは母体(発生源)のことです。 6.有益紫外線(UVA)はNF-κB(カッパB核因子)を制御する 医学界、化粧品業界では紫外線(Ultra-Violet rays)を波長によりUVA、UVB、UVCに分けています。波長はそれぞれUVA(400~315nm)、UVB(315~280nm)、UVC(280nm未満)となります。(可視光線の紫が400nm以上ですから、紫外線はスペクトルの紫の外にあり、見えない光線です。最大波長の赤紫は800nmですが、このスペクトルの外になる赤外線も可視光線ではありません) 紫外線はビタミンDの生成、殺菌など有益な面も多いのですが、皮膚がん、メラノーマ、皮膚の光老化などの原因となるために、過度な被曝は有害面が多い光線です。皮膚の老化に関わる地上の紫外線はUVBです。UVCはオゾン層を透過できず、UVBは紫外線全体の1%くらいといわれる少数派。 それに対して紫外線の大部分を占めるUVAはNF-kB(カッパB核因子)の産生を抑える、有益な機能を持つことが実験レベルで示されています。紫外線UVAがNF-kB(カッパB核因子)の周辺にある、癌に関わる前躯体たんぱく質(P-50、P-60など)の産生を抑え、結果的にNF-kB(カッパB核因子)の産生を抑えるといわれています。 7.IκB(カッパB制御たんぱく質)とNF-κB(カッパB核因子)の活性化 悪玉のNF-κB(カッパB核因子)は活性を制御するIκB(Inhibitory kappa B Protein:カッパB制御たんぱく質)とともに存在しているため、通常は活性を示しません。活性酸素、紫外線、切り傷など、なんらかの外的要因によりIκBがNF-kBより切り離された時にNF-κB(カッパB核因子)は活性を示すことが明らかになっています。紫外線などによりIκB(カッパB制御たんぱく質)より切り離され、活性化されたNF-κB(カッパB核因子)は、インターロイキン、腫瘍壊死因子(TNFα:Tumor necrosis factor)など免疫に関わる悪玉サイトカイン(Cytokine)や、コラーゲン組織を切断、変形させるMMP(matrixmetalloprotease:皮膚基底酵素)など様々な遺伝子を誘導します。 例えば、癌(ガン)を誘導する*分化脂肪細胞内の腫瘍壊死因子(TNF-α)はNF-κB(カッパB核因子)からIκB(カッパB制御たんぱく質)を分離させると細胞の核に移動し、*メッセンジャー・リボ核酸(mRNA)レベルでの遺伝子転写により炎症に関わる*サイトカイン(後述)IL-6 、COX-2を活性化します。 NF-kB(カッパB核因子)に誘導されるインターロイキン類、腫瘍壊死因子(TNF α)などの*サイトカイン(Cytokine)は白血球などの免疫細胞から産生されますが、脂肪細胞組織にも免疫細胞が存在し、これらの炎症にかかわる悪玉を産生します。悪玉サイトカインはインシュリン抵抗性を増し、糖尿病,高脂血症,高血圧,動脈硬化症の原因ともなることが知られています。 8.癌(がん)、生活習慣病の原因物質となるNF-κB(カッパB核因子) NF-κB(カッパB核因子)の活性を抑えれば、炎症を主たる原因とする肥満、癌(がん)、アトピー、発熱などを制御できるといわれ、様々な研究が進んでいます。炎症に関わる*サイトカインである
制御することで遺伝子発現を減らすことができ、IL-6(インターロイキン-6)、PGE2(炎症に関わるプロスタグランディン)の分泌も減ります。 *サイトカインのTNF-α、 IL-6 、COX-2などは脂肪細胞で発現するのではなく、分化脂肪細胞(differentiated adipocytes)や脂肪細胞前躯体(preadipocytes)において炎症反応(inflammatory response)を遺伝子発現させます。脂肪細胞(adipocytes)そのものからはTNFα も IL-1βも分泌されません。また、脂肪細胞前躯体(preadipocytes)は分化脂肪細胞(differentiated adipocytes)には発現が見られないインターロイキン(IL-1β)も発現させます。 (参照) 初版:2008年8月 |

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