ケン幸田の世事・雑学閑談(千思万考)

第六十一話:「トランプ列車の乗車率が急増?予測できなくなった米大統領選」:
ユダヤ系パワーと行き過ぎた新自由主義経済

2016/05/26
最終更新:2026-09-08
トランプ氏の共和党指名獲得に関しては、多くのマスコミは”確定“とか”確実“と報じておりますが、小筆は”ほぼ確実化“とやや控えめな表現を取りました。
その事由ですが、主流派の重鎮であるミットロムニー氏やブッシュ前・元大統領らが、既に反旗を翻し党大会の欠席を表明していますし、党分裂の恐れも考えられます。
党結束に持ってゆくには、トランプ氏が、先ずは保守の理念を明言すること、そして、これまでの奔放な主張をある程度軌道修正して(政策協議を重ね党主流の思いをどこまで汲み取れるのか、)
さらには、副大統領候補に誰を選ぶのか(目下前アラスカ知事のベイリン女史が話題に上っていますが、主流派の同意が得られるか)と言ったハードルをクリヤーする必要があるからです。
いずれにせよ、決着は7月の党大会へもつれ込む訳で、成り行き次第では、なおどんでん返しに陥るケースも否定できません。
最悪の場合、本選に向けて第三の候補が出現する可能性が無きにしも非ずなのです。
 トランプ旋風は、別称「トランプ・トレイン」とも言われて、乗り遅れないように、トランプ列車に乗り込もうとする選挙民が次第に増えて来ております。
今般の大統領選は、所謂保守対革新とか、右か左かと言うよりは、「共和も民主もない、上流対下流、富裕層対貧民層間の戦いに尽きるのではないか」、と言われています。
大企業、国際派、大投資家という「自らに都合の良い社会の仕組みを作って来た”体制派“に対する、そうした仕組みの階下に置かれ、格差に不満を持つ労働者階級や失業者に代表される”反体制派“の戦いであるとも言えると思います。
その意味で、彼らの多くがクリントン女史ではなく、サンダース氏を支持し、世界のリーダーシップを失いつつある旧来の政治家に満足せず、衰退する祖国を再建して呉れそうなトランプ氏が、誰に媚びることなく、強き良きアメリカの希望を語るたびに、トランプ列車に飛び乗っているのが現状かも知れません。
 こうした観点から見ると、仮にサンダース氏がクリントン氏に敗れても、民主党の多くの票が彼女へは流れず、トランプ氏へと向かうことが想定されますので、本選でのトランプ大統領誕生の可能性が漸次高まりつつあるやに見受けられます。
しかも、反トランプ陣営の一部共和党守旧派を始め、民主党クリントン支持派(その代表格が、かの大投資家ジョージ・ソロス氏で、既に6百万ドルもの献金済)の様々なトランプ妨害戦略が頻発し始めており、”仕組まれたプロパガンダ“が目立ってきました。
もっとも、こうした負の動きが強まるにつれ、トランプ列車への乗客が増えると言う現象を生んでいるようです。
至近のニューヨーク情報ですが、史上最低の国連事務総長と揶揄される潘基文氏が、直接名指しはしなかったものの”暗にトランプ氏を批判し、投票回避を呼びかけた“そうで、国連トップのあまりに政治的且つ異例な妄言が反動を呼び、トランプ氏の支持が一層強まったとのことです。
 ところで、今般の予備選で居残っている3人の大統領候補には、いずれもユダヤ人の血が流れているか、何らかの関係があるとの噂が絶えません。
サンダース氏は、ほぼ間違いなくポーランド系移民の二世だそうですし、クリントン氏もトランプ氏も、子女がそれぞれユダヤ人と結婚しているし、両家も祖父母、曾祖父母の世代まで遡ると、オランダ系ユダヤ人(ただしキリスト教へ改宗するなり、改名するなりした移民)の家系につながるとの裏話が聞こえてきます。
もっとも、アメリカの歴代大統領には真正ユダヤ教徒こそいませんが、ユダヤ系と言われたエイブラハム・リンカーン、フランクリン・ルーズベルトや、最近でもロックフェラー家一族の隠し子との噂が絶えなかったビル・クリントン、チェコ系移民のブッシュ家親子、オバマ氏の母方がスエーデン系ユダヤ人などと、言われています。
 いずれにせよ、現在全世界に約千五百万人のユダヤ人がおり、内五百万人のみが建国後のイスラエルに在住していますが、残りの一千万人が世界に散らばって、金融、不動産、流通、メディア、出版、IT業界や法曹界、学界、文化・芸術・芸能界などで大活躍し、政治経済の要を把握しているのが現実です。
中でも、アメリカ在住のユダヤ人は、世界最大数の六百万人(内170万強がNY、50万がLA,25万づつがフィラデルフィアとマイアミに、あと十数万以下が各都市に分散して居住)を数え、改宗改名後の元ユダヤ系を加算すると、米国帰化総数は、軽く二千万人に達するとされ、しかも社会的地位も高い高所得者が大半ですから、ロスチャイルド家やロックフェラー家などの隠然たる影響力は計り知れないものがあると言えましょう。
その背景は、放浪の民・ユダヤ人概史を辿ることで見えて来ます。
 古代ローマ帝国との独立戦争に大敗したオリエンタル(中近東)の元祖ユダヤ人の子孫は、パレスチナから追放され、トルコやイタリアへ逃れ、多くはイスラムと同化し、その支配下にあったイスパニア半島地域へ移住しました。
11世紀前後頃には、スペイン経済を支える一役を担い、自治権を得てはいましたが、やがてレコンキスタ運動によるカトリックの巻き返しが強くなると、ユダヤ教徒差別化が激化し、追放か改宗を迫られるようになりました。15世紀末に、スペイン女王の命を受け、ユダヤ系イタリア人の船乗りだったコロンブスが新大陸を発見した後、上記の追放か改宗を迫られていたユダヤ人たちの一部が中南米へ渡り、鉱物資源産業や商業で巨万の富を築いたことに端を発し、16世紀にはスペインやポルトガルが国を挙げて中南米へと進出、17世紀まで覇権を握る最盛期を謳歌しました。
この間、数十万人のユダヤ人が、主として商業と金融業の盛んだったオランダへ、残りはドイツや英仏他へと移民していったのです。
次に、アメリカへの移民の流れを追ってみます。
 オランダで金融と貿易を支配していたユダヤ人は、先に南米へ渡って富を築いていた旧知の仲間とも合流し、17世紀中葉、新天地アメリカへと第一陣が移民します。
直ちにインディアンからマンハッタン島南部を買収し、オランダ領(植民地)をニューアムステルダムと名付けました。
(ウォール街は、当時の防壁から命名された地名で、その後まもなく、英蘭戦争に勝った英国の植民地となり、改名されたのが現在のニューヨークです。)
移民第二波は、19世紀初頭から増えて、ドイツ系ユダヤ人のブルジョアたちで、ゴールドマン、リーバイストロース(ジーパンで有名)ロスチャイルド系のベルモント、グッゲンハイムらの一族で、その後19世紀末にかけて第三波移民が続きますが、彼らはコーカサス系(アシュケナージ系)と言われる東欧・ロシア系のユダヤ人たちで、中西部から西部へかけて農業や労働者として定着して行きます。
20世紀を迎える頃の米国には、既に百万人を上回るユダヤ系移民が居たそうです。
第四波は、20世紀中葉、ナチスドイツを追われたアインシュタイン達で第二次大戦前に渡米しております(在米5百万に達す)。
そして、第五の波が、イスラエル建国1967年後とソ連崩壊後と言うことになります。
(現在、旧ソ連地域に残るユダヤ人は百万人、歐とカナダに各数十万人、あとは世界各国に散らばっているそうです。)
 最後にもう一度、今次の米大統領選の観点を総括しておきますと、多くの日本メディアによる紋切型の表現(保守の共和対リベラルの民主、異端のトランプかプロ政治家のクリントンか)が全く通用せず、米政治風土の激変の最中、“何が起こっても不思議ではない”と傍観するのが得策のようです。
少なくとも、共和党とトランプ氏がヒラリー氏を負かすと言う共通目的を接点に協議中のテーマで既に合意した最高裁判事候補者リストや一部漏れ来る「トランプノミクス」の端々を垣間見るに付け、また共和党広報部門から「猛獣は訓練次第で危険でなくなる」と言った声も聞こえ出した以上、対日政策に関しても(嫌中・嫌韓発言が嫌日より多頻度)、余り怯えることもなさそうに思えます。
むしろ、「行き過ぎた新自由主義経済」の歯止めなり、「矛盾が相反する民主主義」の修正策なりに、善処の新展開が期待できるのではないかとさえ考える次第です。
 クリントン女史が、国務長官時のメールの公私混同とリビヤ大使を死なせてしまった大ポカ、パナマ文書に夫婦の資金団体が暴かれたこと、刑務所民営化の利権露出、華僑やユダヤ系からの過大な選挙資金供与露見、そして対サンダース戦で強圧的な物言いを続けて“非好感度”が急上昇した為、当初の支持層の大半までを敵に回してしまった、という負の連鎖が次々と出てきた以上、本選に進んでも、同じく弱点を多く抱えるトランプ陣営との戦いを有利に進められない程の隘路に嵌っているように見受けられます。
伊勢志摩サミットにおける国際政策協調で、アベノミクスと“先取りのトランプノミクス”の融合が図られるのか、オバマ氏のベトナム訪問に絡むTPPと南シナ海(対中]問題、同氏の広島訪問が絡む核拡散防止対策等が、欧州勢を交えて、いかなる和解と同調にすすむのか、米大統領選の行方も含め、“歴史的な風景から目が離せない”この頃です。