癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

なぜ日本人には癌死が多い?:淡泊な食事と予防に無関心

2026/02/28
最終更新:2026-09-09


河豚(ふぐ)の刺身やチリは和の心髄ともいえる料理ですが、一般的欧米人にはあまり評価されません。 毒への恐怖ばかりでなく、淡泊すぎるようです。
数百年を超えて伝わる伝統的和食の調理法は美しく、洗練されています。
これは河豚や鱧(はも)など高級食材料理や懐石料理など「おもてなし料理」ばかりでなく多くの方の実生活の食材調理も同様。
洗練は現代人の食事としては栄養価が低く、体力維持や保健効果を求めるには適切ではありません。

現代の欧米人や都会の若者は実用的に日本料理のアレンジを進め変化させています。
究極の洗練と視覚を楽しむ伝統食文化の継承という面は実際の食生活から遊離しているのでしょう.

1.国連の「世界ガンの日」:なぜ日本人には癌死が多い?
国連(WHO)は毎年の2月4日を「世界ガンの日:World Cancer Day」に制定しています。
国連によれば2023年の世界の癌による推定死亡者は約1,000万人前後。発症者約1,850万人。

癌は世界統計が難しい疾病です、先進国を覗けば、あくまでも推定数字です. 
世界で推計約1,000万人前後の死亡者に対して日本は約39万人。
1981年(昭和56年)以来、死因の第1位最高位(人口比が続いています.
これは実体でしょうが、先進国としては多すぎる気がします。
最近5年をみても死亡者は漸減していますが、罹患者は減少に転ずることがなく増加しているようです。
日本人のガンは死因の30%以上を占め、先進国の中では最高位(人口比)。

2. 癌は世界最大の羅病率と致死率の病 心血管病、脳卒中は世界最大の疾病とはいえ致死率は高くありません。
世界最大の罹患率と致死率(morbidity&mortality)は癌(がん)。

癌(がん)の罹患部位は広範囲です.やや古い統計ですが、世界の主たる罹患原因となっているのは

肺がん (13.01%: 210万人) (死亡者:14.5% :137万人)
乳がん (12.97%:209万人)
前立腺がん(7.93%:127万人)
大腸がん (6.81%:110万) 日本では以下の消化器系が年々増えています.
胃癌 (6.42%:103万人)
肝臓がん (5.22%:84万人)
直腸がん(4.38%:70万人)
食道がん(Oesophagus)、子宮がん、子宮頸癌(Cervix uteri) 甲状腺がん(Thyroid) 
膀胱がん(Bladder)が各々50万人くらい(世界統計は目安程度と考えねばなりません)

死者は多い順から肺がん、前立腺がん、大腸直腸がん、胃癌、肝臓がん。
リンパ腫(Non-Hodgkin lymphoma)と白血病罹患者は腎臓、膵臓と同程度の43万人日本の悪性リンパ腫と白血病罹患者は約46,500人ですから統計上は世界全体の10%を超えます。

3. WHOが注視する発がん物質とは 正常細胞はストレス、感染症、心血管病、脳卒中、糖尿病、肥満などによる細胞炎症から、遺伝子変異など様々な段階を経て腫瘍細胞になりますが、多くは発がん物質による前がん症状病変(lesion)を経て悪性腫瘍になります。
病変は人の遺伝子要素と下記三つの外的要因の交錯で生まれます。

肉体的発がん物質(physical carcinogens)
:紫外線(日焼け用器具による人工紫外線を含みます)など非電離放射線.
イオン化放射線.微量電磁波*化学的発がん物質(chemical carcinogens)
:アスベスト、ダイオキシン、タバコ、アフラトキシン( aflatoxin:アーモンドなど特定食品のカビ)、食品添加物、農薬、水道水のヒ素(arsenic)汚染*生理学的発がん物質(biological carcinogens)
:ウィルス、バクテリア、寄生虫

ヒジキの無機ヒ素(亜ヒ酸)は危険な発がん物質?

https://nogibotanical.com/archives/2330

4.日本人はなぜ癌(がん)を減らせない 「日本は高齢化急進社会であり医療が進んでいるから難病のガンが目立つだけ」と安心している人が多いようですが、ある面では事実。 しかしながら、それだけで済ませて良いトレンドでしょうか。 日本は医療先進国として癌(がん)には全力対応しているように見えます。

ところが治療研究には先端技術を持ちながら、実用化投資が出来ず、結局は外国からの技術導入。
関心が高いのは検査方法や富裕層相手の高価な新薬の開発。

がん発症は遺伝子が繰り返し変異して起こります。
がん発症の時に診られる特徴的な遺伝子型は500種類近く発見されており、個々人に差はありますが誰もが持っているものです。
遺伝的に発症しやすい人でも遺伝子変異(ガンの発現)にはきっかけがありますからきっかけを少なくすれば予防につながります。
きっかけの活性は上記の遺伝子、食生活(頻繁な外食、化学合成添加物、農薬に無関心な生活習慣)、環境汚染三要素にストレスが加わると加速するといわれます。

「日本人に多い消化器系ガンと下戸遺伝子の相関:
飲酒で臓器を傷める日本民族の遺伝的特質」

https://nogibotanical.com/archives/7523

日本人に多い消化器系ガンと下戸遺伝子の相関: 飲酒で臓器を傷める日本民族の遺伝的特質
 

5.癌(がん)を予防する食生活

和食は1950年代頃までの調理に較べればタンパク質のバラエティーも増えましたが、欧米、アジアのメニューに較べればはるかに淡泊.
見た目重視、灰汁の徹底排除のための素材の過剰加工、切り捨てにより栄養素が失われています.

 
日本人の食生活は世界一の健康食と思っている人が多いと思います。
飽和脂肪酸過多の食材を常食している欧米人が週に何回か豆腐など

精進料理を原型とする和食を採りいれるならば健康食でしょう。
しかしながらそれだけで生活するならば、疾病への抵抗力、持久力などが不足する栄養失調を招きます。
伝統的和食を世界に誇る健康食と思う方が多いのが、ガン漸増の原因の一つと指摘する医療関係者が少なくありません。
何事にも「世界に誇る」と表現する言葉が好まれますが、これは大海を知らないだけ。
がん予防の食生活で重要なのは肥満、糖尿病、動脈硬化を防ぐことです。
これらは遺伝子変異をおこす大きな原因といわれます。
食生活での予防にもっとも効果的なのが抗酸化物質。
高齢者には肝臓などに副作用がある合成ビタミンC、E のことではありません。
天然の食材からの抗酸化物質(ポリフェノール類、ビタミン類)摂取です。
米国では政府が音頭をとって野菜、果物の摂食を増やす運動を40年近く続けており、ガンによる死者も年々漸減。
反面日本人の野菜、果物の摂取はアジアででも稀有と言える少なさです。

6.外国人の好む和食とは

欧米人、アジア人の好む刺身は脂質が豊富なサーモン、マグロ、カンパチ、ヒラマサ類.
アワビ、牡蠣(かき)、ハマグリなども生食しますが魚介類は富裕層向けで高価.(ニュージーランド)

 

和食が来日観光客を魅了しているのは事実。
類例の少ない独特な調理法。美味しい。美しい。
食材のバラエティーが豊富。あらゆる価格帯に対応している。
和食は歴史的に中国、韓国の影響を受けている部分も多いですが、それを咀嚼して洗練された料理を作り出しています。
和食が世界で評価され、愛されるのは当然ともいえるでしょう。
ところが来日観光客の多数派が支持しているのはいわゆるB級グルメのラーメン、カレーライス、ハンバーグの御三家をはじめ、焼き鳥、てんぷら、お好み焼き、トンカツ。
純粋な日本料理とは言えません。
いずれも外来料理を日本で昇華させたもの。

美しい懐石(会席)料理や松花堂弁当などはアートや食文化として評価しても、コストパフォーマンスを考えれば好んで食べる人は多くありません。
オリジンが外国の料理を日本風にアレンジしたバラエティーが人気です。
お寿司は世界各地に浸透していますが、欧米の寿司種の主力は日本とは大きく異なります。
生貝、タコ、イカなどは敬遠気味、生魚はサーモンが最もポピュラー。
世界の寿司ブームで寄生虫の少ないチリやノルウェーなどの養殖サーモンが高騰する理由となりました。
鮪(マグロ)があれば鮭に続きますが、淡白な白身は好まれません。
要するに日本人ほど淡白なお寿司や和食が好みではありません。
日本人にとっても伝統的な和食は栄養素不足で体力不足になりがち。
ホルモンや細胞膜をつくる脂肪酸類が不足し、特に高齢者の栄養失調(抵抗力不足)をまねいています。
日本人若年層の生殖能力低下にもつながり、前立腺がん、子宮頸がんの多発の原因ともいわれています。

 

欧米大都市では持ち帰り寿司が定着しましたがサーモン、マグロ、煮海老の海苔巻きが主流。
白身、小魚、いか、貝類、干瓢(かんぴょう)はまずありません。
欧米先進国のパーティーでは海苔巻きがサンドウィッチ並みの定番スナックになりました。

   
欧米の子供たちのガーデンパーティーではサンドウィッチと共に海苔巻きが供されることが珍しく無くなっています.
オークランド(ニュージーランド)

7.日本人の不健康な欧米食と欧米人の食生活 日本人の洋食は健康面で欧米人の料理とは根本が異なります。欧米と同じレシピで作り、食しているつもりでも脂肪酸成分に根本的に異なる部分があることです。

外見では解りませんが最も大きな違いがパンとケーキ。
日本のパン、ケーキは知る人ぞ知る不健康食。
日本人の食生活からは米食が減り、パン食が多くなりました。
また西洋風のケーキが和菓子を圧倒しています。
同じパンとケーキでも欧米との違いはトランス脂肪酸、過酸化脂質の含有量。
バターと動物性ショートニングを使用する欧米製はトランス脂肪酸、過酸化脂質がゼロに近いのに比べ、マーガリンと植物性油脂(クリーム、ショートニング)を使用する日本製は信じられないほど多量。


マーガリン、植物性生クリームを使用したショートケーキは最悪の選択。

トランス脂肪酸、過酸化脂質は肥満、動脈硬化の主原因の一つ。
バターの関税が高いために日本のバターは世界有数の高額食材。
パンやケーキに使用すると最終価格が高騰しますから、ほとんどがマーガリンで代用。
バターの安い欧米はマーガリン使用が日本とは比較できないほど少ないですが使用したとしても欧米のマーガリンはトランス脂肪酸がゼロか微量です。
欧米人の食生活はバターや肉脂による飽和脂肪酸の摂り過ぎが話題になりますがパワー出る反面、過剰は心臓血管にダメージを与えます。
飽和脂肪酸過多の欧米人が時折、伝統的な和食を摂食するならば健康に良いのは間違いありません。

加工食品産業に深く侵入し続けているトランス脂肪酸: ハーバード大学公衆衛生大学院(スクール) 
https://nogibotanical.com/archives/7549
 

8.環境汚染と中皮腫、肺がん環境汚染が人体にダメージを与えるのは最大では40年間後ともいわれるほど。

遅行性なために肺がんの原因となるじん肺、アスベスト、大気汚染、ラドン、ダイオキシンに対して日本人は比較的無関心。
原発汚染に神経過敏な人も、放射線岩盤浴やレントゲン、MRI、PETなど断層画像診断などは気にもしません。

日本の温泉は安全か? 放射線のラドンは肺がんの原因となる:放射線と放射能
https://nogibotanical.com/archives/2339

 

近年の部位別ガン発症で日本のトップとなっている肺がん。
タバコを吸わない女性にも多発するために受動喫煙が疑われていますがこのような被害は数十年後に肺がんとなって顕在化することが多いといわれます。
数十年前の日本は映画館、鉄道、ティールーム、レストランなど、どこでも喫煙はフリー。
加えて日本は「世界に誇るアスベスト使用大国」。
肺がんに分類されている癌の原因には中皮腫も入るでしょう。

そろそろアスベストを大量使用していた60年代から80年代ころから30年から40年後にあたります。
欧米の例からみても中皮腫による死者はもっと多くても不思議ではありません。
すでに統計上肺がんで処理されている患者にも中皮腫を疑うべきでしょう。
ただし、死後に肺を解剖しなければ本当の原因は解りません。
中皮腫は早期発見、切除で多くは防ぐことが出来ます。
もっと関心を持つべきでしょう。
アスベストの記事は下記にたくさんあります.

https://nogibotanical.com/archives/category/cancer
 早期発見が重要なガン治療が手遅れになるのは日本人の診療ぎらいにもあるといわれています。
職場や地域の定期検診は受けて「毎年どこも悪いところが無い」と豪語。
一般的な定期検診はコストを抑える必要上、精度の低い検査。
おおよその健康度を表示しているにすぎません。
そんなことから、しばらく異常を感じていても、すぐ診療に行く人は稀。
この点も改める必要があるでしょう。

9. 肉体的運動で防げる癌(がん)の発現と進行


アルツハイマー防止協会のキャンペーンロゴとイメージ・キャラクター

米国厚生省傘下の疾病対策センター(CDC)は2015年の世界アルツハイマーの月(World Alzheimer's Month:9月)に、アルツハイマーの有力な防止策としてウォーキング奨励を打ち出しました。
ウォーキングはアルツハイマーばかりでなく心臓血管病、癌(がん)の予防にも劇的な効果が得られると解説しています。
ウォーキングを奨励しているのはNO(一酸化窒素)の体内合成により抜群の健康効果が期待でき、技術が不要、費用がほとんどかからない予防策だから。
健康に良いウォーキング方法を具体的に解説し、車、歩行者などとの混在で歩きやすい環境が不足しているとして市町村によるウォーキング環境整備協力を公衆衛生局長官(Surgeon General)が呼びかけています。

ブドウ・レスベラトロールとL-シトルリンのコラボレーション 一酸化窒素合成(NO)とサイクリックジーエムピー(GMP)の産生
https://nogibotanical.com/archives/843

 

米国では認知症が増加しており、現在500万人と推計される患者が10年後には40%以上増加。
2050年には3倍の1,500万人になり介護関連費用が1兆6千ドルもの巨額となるだろうと予測しています。
アルツハイマーが大変なのは患者の周辺に及ぼす影響。
介護に自身の人生の半分以上が費やされます。
 米国政府(CDC)が同時に推奨する「がん予防にもウォーキング」
アメリカには運動(physical activity)と癌患者生存率の関連を研究した権威ある論文が45件知られています。
また運動が全ての癌要因を減少させること、米国に最も多い乳がん、大腸がんの死亡率が運動(physical activity)によって減少することを証明する27件の観察も進行中。
アメリカの運動ガイドライン(Physical Activity Guidelines)では成人の運動量は一般的運動量で週に150分。
*時間約5キロくらいの速度のウォーキング.テニスのダブルス.水中エアロビクス.
1時間16キロ以下の自転車.
激しい運動の場合(vigorous-intensity physical activity)は75分を目安にしています。
*ランニング.テニスのシングルス.水泳.1時間16キロ以上の自転車.

「米国CDCが「モール・ウォーキング」の薦め:費用不要な極寒、酷暑の健康法」

長寿社会の勝ち組となるには(その4 ): 米国CDCが「モール・ウォーキング」の薦め:費用不要な極寒、酷暑の健康法
 https://nogibotanical.com/archives/932
 肉体運動による具体的な成果として、NO(一酸化窒素)の体内合成により血管内皮のクリーニングがなされ、しなやかさを持った血管によって、ほとんどすべての疾病に優れた効果を示します。
代表的ないくつかを挙げると a. コルチゾル(Cortisol )のレベルの低下肉体的、精神的健康問題の原因ともなるコルチゾルのレベルを減らしますコルチゾルはストレスや低血糖により腎臓から分泌されるステロイドホルモン。
血糖を増加させ免疫システムを抑制。
脂肪、タンパク質、炭水化物の代謝を助けますが骨の組成を損ないます。
 b. 運動による腫瘍抑制遺伝子(tumor suppressor genes)の活性化肉体運動は少なくとも二つの腫瘍抑制遺伝子(CACNA2D3 とL3MBTL)のメチル化低下(DNA methylation:抑制遺伝子活性化を意味します)に関連しています。
前者が過剰抑制される(Hypermethylation)と胃癌、後者が過剰抑制されると乳がん、脳腫瘍になることが知られています。
運動はDNA methylation(DNAのメチル化)のメカニズムにリンクしており運動量の増加がDNA methylationレベルの引き下げに貢献します。

c. カヘキシー(cachexia:悪液質)の防止運動は癌によるカヘキシーを予防し、衰弱(attenuation)を防ぎます。
カヘキシーは癌など難病の症状の一つ。
筋肉や脂肪組織を減少させ、最低5%の体重減少、細胞の炎症を促進させます。
 d. 神経細胞の活性化(neurobiological effects):解説省略e. マイオカイン(Myokine)の活性化2012年にマイオカイン(Myokine)を研究するコペンハーゲン大学のペダーセン博士(Dr. Bente Klarlund Pedersen)らによって、がん腫瘍の進化、インシュリン抵抗性の増加、筋肉、脂肪組織の減少、アテローム性動脈硬化(atherosclerosis)、神経変性(neurodegeneration)など肉体運動不足から生じる様々な不健康が立証されました。
マイオカインは数百は知られるサイトカインの一つ。
神経伝達物質として筋肉、脂肪、骨、肝臓、心臓など様々な組織の受容体と結合します。

初版:2015/02/04改訂版:2019/02/162022/02/262024/10/19