悪性胸膜中皮腫を発症後に68才で亡くなった資生堂の元化粧品販売員の女性(当時68)が化粧品に含有する粉末「タルク」にアスベスト(石綿)が含まれ、それを吸い込んだことが発症原因になった可能性があるとして、仙台労働基準監督署が労災認定。
日本では2006年に禁止されていましたが、中脾腫との因果関係は勝訴せずには認められないことが多々ありました。
2014年10月に大阪泉南での建設関連訴訟判決で国が敗訴し、その後の建設関係判決に影響を与えるようになりました。。
そのころからは建設関連業者、監督官庁の責任が問われるようになりアスベストを有害と知りながら、永年、産業従事者、工場周辺居住者、消費者に生命の危険を周知させなかった関係者の責任が追及されるようになりました。
アスベスト訴訟では、フォーブスのランキングに入る大手メーカー群や関連業者のほとんどが賠償倒産した米国に較べ、日本は微々たる賠償金ですが、責任追及と訴訟が増えてくるのは、発症者が増えるこれからでしょう。
中皮腫が予想される方は早期発見、切除が唯一の治療法。
また禁煙など日常生活に配慮するだけで、かなり発症を抑えられるという研究もいろいろあります。この項でご紹介するのはその一つ。
アスベスト吸引を経験した方は放射線被曝(ひばく)が予想される場所を避けた方が良いという岡山大学の研究です。

ケベック州(カナダ)最大のアスベスト採石場.
2012年に米国、欧州がアスベスト全種を輸入禁止にし、ほとんどの採石場が閉鎖されました。。
2006年に輸入禁止されていた日本でも、中脾腫発症がアスベスト由来という判決が急増。
カナダ政府は2018年12月30日より、アスベストおよびアスベスト含有製品の販売、輸入、使用を全面的に禁止2020年に「Asbestos」という名称の採石場の町名は「源泉の谷」を意味する「Val-des-Sources」へ改名されました。
「アスベストの健康被害」はこちらにまとめてあります.
https://botanicals.co.jp/library_index.php?cate_number=28
1. 岡山大学の中村栄三教授がラドンの発がん性を指摘アスベストは肺がん原因の相当部分を占めると推測されています。
このアスベストによる発ガンがラドンや鉄分との結合によるのではないかとの研究が発表され話題となっています。
ラジウム(ラドン)温泉で有名な鳥取県の三朝(みささ)温泉に拠点を置く、岡山大学地球地質学センターの中村栄三教授が中心となって発表したものです。
ラドン(ラジウム)は発癌物質として知られています。2. アスベスト小体(石綿小体:Asbestos body)とはアスベストが肺に突き刺さり、たんぱく質、鉄分(フェリチン)などが結合したものはアスベスト小体または石綿小体(Asbestos body)と呼ばれ、アスベストを原因とする肺がんの認定マーカーとなっています。
アスベスト小体には肺に突き刺さった針状のアスベストにカルシュウム、塩化鉄分、その他様々な物質が包み込むように付着しています。
小体を拡大して見ると、針状のアスベストの両端に物質が絡まり鉄アレイ状になっています。
今回の岡山大学の研究によれば、アスベストを原因として死亡した患者のアスベスト小体に相当量のラジウムが結合していたそうです。
白石綿と言われるクリソタイルが安全といわれた根拠は、茶色石綿のクロシドライトやアモサイトはアスベスト(石綿)小体をつくりやすいが、クリソタイルは石綿小体を形成しにくいと言われていたからです。
この安全性については異論が多々あり、有害説が主流となりました。3. なぜ小体にラジウムが結合?中村教授の研究による作用機序としては「アスベストやたばこの煙に含まれる鉄分が、肺の中に吸入されることで、フェリチンの生成が促される。
これにより体内に極微量含まれるラジウムが濃縮され、発癌物質となる」
フェリチンは肝臓に蓄積される鉄分として知られ、肝臓ガン発ガン物質の一つといわれます。
フェリチンに関しては下記をご参照ください「過剰鉄分は寿命を縮める」 Q&A :脂肪肝、糖尿病の原因にも
4. アスベストによる中皮腫ガンの死亡者は公表数字よりはるかに多い?ガン死のトップクラスである肺がんでの死亡者は増えており、年間7万人とも言われますが、そのうちのどのくらいがアスベストによるものかは、はっきりと識別できません。
アスベスト被害の労災認定は年間1000人を超える程度ですが一説には5万人という説もあります。
全ての死亡者を詳細検査するわけでもなく、補償、賠償がからむ統計は意図的に操作されることが多いために推計すら出来ない状況です。
20-30年後に発症が急増した英米の先例から判断すれば、日本はアスベストによる肺がん(中皮腫癌を含む)死亡者はすでに漸増しているはずであり、10年を待たずに急増することが予想されています。
まともに信ずる関係者は少ないでしょうが、公表されている1990年代後半の日本の中皮腫認定死亡者は年平均600人前後、2002年は800人。
このうちアスベスト産業従事者が70%以上を占めるといわれます。5.1980年代からの日本のアスベスト訴訟日本でも例外的に日本アスベスト(現ニチアス)、朝日石綿(現エーアンドエーマテリアル)、住友機械などに対して数例の訴訟があります。
裁判記録によれば、1980年のアスベスト訴訟で、日本アスベストと関連工事会社が敗訴になり、合計約8,000万円を賠償する判決が出ています。
これは関連業界の労務関係者には有名な判決。
この頃から日本でもアスベストと「石綿肺」の因果関係が認知されていたわけです。
胸膜中皮腫は最も悪質ながんの一つといわれており、治療法が限られています。
早期発見での切除が有効と言われますが、自覚症状が出る頃は手遅れ。
発症に数十年かかるケースが多いために、顕在化するこれからは、死亡者の急増と関連訴訟が予想されます。
自動車部品多国籍企業フェデラル・モーグル社の倒産
6.アスベストの石綿肺と珪肺(けいはい)を同列扱いにした産業界少なくとも35年以上も前から、アスベストによる胸膜中皮腫(mesothelioma)や肺がんは関係省庁を含めて、企業関係者の間では広く知られている因果関係。
中国、韓国、日本では欧米でアスベストの危険性が認知された後も、それを無視してアスベスト輸入と建材生産を強行していました。
石綿肺(asbestosis)とはアスベストを原因とする胸膜中皮腫や肺がんなど、全てのアスベスト肺疾患の総称。
日本では炭鉱の粉塵による「けい肺」「塵肺」がより有名でしたが、これは「石綿肺」同様に珪素を主体とする粉塵に肺が侵されるものです。
米国では「けい肺(silicosis)」はアスベストの「石綿肺(asbestosis)」と同様に、企業が多額な賠償を要求される訴訟対象ですが、日本では「けい肺」「塵肺」「石綿肺」や繊維産業従事者の肺疾患を含めて、被雇用者による訴訟事件は稀であり、企業との因果関係が認められる場合には労災認定で済まされていました。文化の違いなのでしょう。
けい肺(シリコーシス:silicosis)が怖いグラスファイバー建材
7.アスベストの危険性はなぜ放置されたか2000年代にはアスベストによる肺などの中皮腫被害は、建材業から造船業、工場周辺住民、家族の被害までが次第に明るみに出るようになっています。
2005年7月には総計515人が報告され、被害者や死者を出した会社も51社にのぼりました。
その後何故このような危険な断熱材の輸入や製造が放置されていたのか議論されましたが、業界団体の石綿協会の抵抗を自民党が受け入れ、意図的に廃案にしたのが真相とのこと。
事実、1992年に禁止法案が提出されましたが、審議もされずに廃案にされたことで自民党の責任が追及されていました。
初版:2005/07/18改訂版:2009/08/05改訂版:2014/11/20