糖尿病のニュースと解説

長寿社会の勝ち組となるには(その14):
慢性化する生理的炎症を軽減する天然魚油のシス型オメガ3脂肪酸

2016/11/04
最終更新:2026-09-13

NHK10月29日の特別番組で放映された「健康と長寿」
内外の100才を超える方の健康法を取材していましたがテーマは万病の元となっている体の慢性炎症。
ノギが数十年間、限りなく追及しているテーマです。
外傷による炎症ばかりでなく、アルツハイマー、パーキンソン病、2型糖尿病、難聴、ぶどう膜炎、老化、ガンなど多くの健康障害の原因となっているのが生理的炎症(bio inflammation)
一般の方は炎症というと外傷や扁桃炎、口内炎など目に見える腫れをイメージし体内組織の慢性炎症に気づいている方は少ないですが癌のマーカーとなるのは体内に起きている炎症。
加齢により痩身の方が肥満体になっていくメタボも細胞の炎症。
慢性炎症こそ万病に見られる兆候であり、手遅れになる段階までほとんどの方は気づきません。
慢性炎症の悪化は、まさにノーベル賞を受賞した大隅博士が指摘している「*オートファジー機能の崩壊」。*タンパク質のリサイクル機能不全https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=518
 全国ネットのNHKが生体の慢性炎症の危険性を広く認知させてくれたのは気づかずに放置している国民に大きな警告となったと思います。

「天然魚油のDHA/EPA(オメガ3)とは:
脂肪酸代謝物エイコサノイドとプロスタノイド」
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=173
 

1.メタボが直面している慢性炎症による体組織の崩壊巷(ちまた)でメタボリック・シンドローム(Metabolic syndrome:代謝症候群) と称するのは代謝(メタボリック)異常がすでに起きているからの呼び名ですが、基準値や定義には様々な議論があります。
いずれも中高年の代謝異常による肥満から高血糖、高脂血が発症している状態を指していますが、一見では標的への投薬で普通に生活できる体です。
ところが、メタボはすでに脂肪組織や血中の脂肪細胞が慢性の炎症を起こしている状態。
メタボを投薬のみで放置していると、すでに兆候がある生活習慣病が知らず知らず悪化して取り返しがつかなくなるのが常。

ここでご紹介する実験調査は天然オメガ3脂肪酸が健康な体重過剰体(メタボ)の血中炎症マーカーを変化させることを立証した最初の分子学的研究でした。
肥満体の脂肪組織には慢性的な炎症があり、糖尿病、心筋梗塞、代謝異常が起きる原因となることが知られています。
「病は気から」「ストレスと免疫機能」を分子学的に実証し続けるのはジャニス・・グレーサー博士。
米国オハイオ州立大学の精神学・心理学教授で精神神経免疫学の専門家です。
オメガ3が健康な中高年の脂肪細胞の炎症を止めることを解明し、天然のオメガ3を日常的に使用することが一定の病気の予防になることを立証しました。

*(参考)肥満細胞(マスト細胞:Mast cells)
肥満細胞(マスト細胞)は人体のあらゆる部位に存在しますが、特に皮膚、目、鼻など粘膜組織に多く存在します。
脂質が蓄積するとサイズが大きくなります。
肥満細胞はアレルギーに関連する他、心臓血管関連疾病や肥満に関連する各種ホルモンを分泌することが明らかになり、この中でもアディポネクチンとレプチンの研究(後述)が進みつつあります2.オメガ3脂肪酸が肥満脂肪の炎症を抑制:分子学的研究調査の動機と対象天然魚油のオメガ3が脂肪組織の炎症値上昇を抑えて予防的であると同時に治療として下げる効果があることは、すでに多くの疫学的研究で知られていますが分子レベルで立証した研究はほとんどありません。

グレーサー博士の論文表題は「オメガ3が体重過剰中高年の(脂肪細胞)炎症を低下させる」:
Omega3 lowers inflammation in overweight older adults

オメガ3脂肪酸が健康な人に起きている細胞の炎症を抑制するという分子学的立証は保健のために重要な研究。
慢性的炎症は非常に多くの病気(心筋症、2型糖尿病、関節炎、アルツハイマーなど)と連結します。
「痛みと炎症の原因物質」
原因物資は菜種、大豆、トウモロコシのリノール酸(オメガ6)が産生します。
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=179
 研究調査の動機オメガ3の炎症に関するテストは痩身の健常者か重病者でしたが、この研究の動機は定期的な運動をしなくとも普通の体脂肪状態の人に「オメガ3脂肪酸がどのような効果を与えているのか。
エクササイズをしていないのになぜ痩身なのか、理由を知りたかった」

研究調査の対象健康だが体重過剰(標準以上:Overweight)や肥満(Obesity)で、座りがちな生活をする平均年齢51才の男性45人、女性93人の合計138人。
下記BMI(Body Mass Index)指数を基準にすると対象者の91%が体重過剰、内47%が肥満。
当然ながら炎症を起こす物質(pro-inflammatory cytokines)を持った血液が多い肥満した参加者を主として集めた。
BMI(Body Mass Index)は下記を基準として体重過剰(標準以上)と肥満体の人を定義。
• 痩身(痩せ型)(Underweight) = 18.5以下• 標準体重(Normal weight)= 18.5–24.9• 体重過剰(標準以上:Overweight) = 25–29.9• 肥満(Obesity)= BMI 30 以上研究調査より除外した人々精神関係医薬品常用者。高血圧やコレステロール過多。糖尿病。喫煙者。
ベジタリアン。毎週ハードなエクササイズをしている人。
ボディーマス・インデックス(BMI)が22.5以下の人。
日常的に魚油を摂っている人。3.オメガ3脂肪酸が肥満脂肪の炎症を抑制:分子学的研究調査の方法オメガ3脂肪酸摂取のグループは天然オメガ3サプリメントを毎日1.25グラムか
2.5グラムを摂取する2グループ。
オメガ3脂肪酸のDPA/EPA比率は7対1.これは実験に提供されたサプリメントの比率。
このサプリメントは医薬品のようにEPAに重点を置いて天然オメガ3のDPA/EPA比率を人為的に調節しています。
通常は自然な青魚の天然の比率(ややDHA比率が高い)がより安全性が高いとされます。
オメガ3は適量ならば良質脂肪酸といわれ、多くの保健効果がありますが大量摂取の安全性は確認されていません。
偽薬(プラセボ)のグループはアメリカ人が日常的に食していると推測されるコーン、大豆など各種脂肪酸が含まれる安価な混合食用油を毎日ティースプーン2杯弱飲用。
オメガ3摂食者の血中には炎症前駆サイトカイン(pro-inflammatory cytokines)
といわれる二つの蛋白質のIL-6(interleukin-6)とTNF-a(tumor necrosis factor-alpha)が存在します。
これは6種類あるサイトカイン(cytokine)ファミリーの中で、感染症や怪我によって増加し、炎症のマーカーともなるタンパク質です。4.オメガ3脂肪酸が肥満脂肪の炎症を抑制:分子学的研究調査の結果4か月後の結果では炎症前駆サイトカイン(pro-inflammatory cytokines)や他のマーカーとなるたんぱく質を有意に減らすことができました。
天然のオメガ3脂肪酸低摂食グループはサイトカインのインターロイキン6(interleukin-6 :IL-6)が平均10%低下。
腫瘍壊死因子といわれるサイトカイン(tumor necrosis factor-alpha :TNF-a)の値も低下していましたが、これは0.2から2.3%偽薬摂食グループはテストの終了まででインターロイキン6 (IL-6)が36%も増加。
TNF-aも12%増加しています。
統計的にはオメガ3脂肪酸1.25から2.5グラムの二つの摂食量に結果の差は大きくありませんが、偽薬グループとの差は非常に大きい結果となりました。
研究のデータでは高摂食量が低摂食量より抗炎症に特に良い効果があるとは考えられないとのこと。
(データ的には摂食量は多い方が、短期的な効果はやや高いが博士らは有意な差が認められないと公表)
この調査は「脳と行動と免疫ジャーナル:Brain Behavior and Immunity」に掲載されました。5.精神神経免疫学研究者のジャニス・キーコルト・グレーサー博士上記の研究主任はオハイオ州立大学の精神学・心理学教授で精神神経免疫学(psychoneuroimmunology :PNI)を専門としているジャニス・キーコルト・グレーサー博士(Janice Kiecolt-Glaser)
「Omega3 lowers inflammation in overweight older adults」
薬学部にも席をおき、行動薬学研究所(Institute for Behavioral Medicine Research)のメンバーでもありますが、彼女の勲章は国立科学学士院薬学研究所会員(the Institute of Medicine of the National Academy of Sciences)に推挙されたこと。
これまでの 研究ターゲットは結婚、夫婦、離婚、病後、食生活などのストレスが健康に与える影響や、経年による体機能性低下調査。
慢性的ストレスが大幅に加速させる年齢関連、免疫機能の変化。
最近ではガンからの生還者の健康がもっぱらの主要ターゲット。
癌からの生還者は彼女の最新研究に関心を寄せています。
夫のロナルド・グレーサー(Ron Glaser)教授と30数年の結婚生活を続けながら「病は気から」「ストレスと免疫機能」を分子学的に実証する数々の共同研究があります。
1858年に英国の疫学者ファー(William Farr)が独身者、既婚者、結婚否定者をグループ分けし、健康状態、死亡率などを調査(conjugal condition)して、「結婚は健康の元」の結論を唱えて以来150年。
ジャニス・キーコルト・グレーサー博士夫妻は「結婚生活のストレスと健康」の分野では最も著名でマスコミ露出度が高い研究者。
夫のロナルド・グレーサー博士(Dr. Ronald Glaser)は同じオハイオ州立大学の分子ウィルス学、免疫学、医学遺伝子学教授(molecular virology immunology and medical genetics)6.ストレスを受けると活性化する遺伝子のCTRA:スティーブン・コール教授ストレスと免疫機能に関してはもう一つ話題となったNIH(National Institutes of Health)にサポートされた有為な研究があります。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部教授のスティーブン・コール教授(Steven Cole)とノースカロライナ大学のバーバラ・フレリククソンさん(Barbara L. Fredrickson)らが10年間にわたり総計21,000の生命に関わる基本的遺伝子を選択。
ミステリー、恐怖など心理的負担の強いストレスに人類の遺伝子がどのように反応するか解析したものです。
研究調査は「Proceedings of the National Academy of Sciences」のジャーナルに掲載されています。
研究によれば、EQ値、IQ値の高い振る舞い(エウダイモニア:eudaimonic well-being)や快楽主義(hedonic)の方は免疫細胞が望ましい活性化を示し、抗菌、抗体反応が強いために炎症遺伝子レベルが低く、炎症値が低いことがわかりました。

彼らはこの研究までにストレスによっておのおの正と負の活性化を示す遺伝子群を発見していたといわれ、CTRA(conserved transcriptional response to adversity)遺伝子と名付けています。7.炎症を引き起こす原因物質のリノール酸炎症の原因物質は菜種、大豆、トウモロコシのリノール酸(オメガ6)
から作られるアラキドン酸に由来します。
加工食品の40%以上に使用されているオメガ6植物性油、油脂を減じなければ健康障害を起こすと懸念される所以(ゆえん)です。
「リノール酸を過剰摂取する米国民:
米国厚生省ラムスデン博士が細胞炎症の危険性を警告」
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=3778. 抗炎症ダイエット(anti-inflammatory diet)とは米国では抗炎症ダイエットが盛んですが推奨されている食生活はノギのサプリメントに象徴されています。
ノギのサプリメンはレスベ、オメガ3、シトルリン、セサミン、ケール100、アサイー、スクワレン、ビーポーレンなど全てが慢性炎症を防ぎ、軽減することを意図して設計されたものばかり。
「赤紫色素は美容と長寿の最強抗酸化ポリフェノール(5)
赤ブドウと桑の実」
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=480
 医薬品のような体感度は低いかもしれませんが、手遅れになるのを防御して健康生活をおくるためにお役に立っているはずです。
「とらんすげん」普及を急ぐのも炎症の原因物質コックス2がリノール酸過剰摂取により作られるからです。
トランス脂肪酸が炎症の原因となり、万病の元といわれる所以(ゆえん)です。
食生活と疾病の研究で著名なハーバード大学医学部(Harvard Mdical School)が推奨するのは下記の食材です。

悪玉として挙げられるのは*白いパンや白米など精製された炭水化物精製により毒性に拮抗する成分が失われ、本来の小麦やコメの持つ安全性が損なわれることを指しています。
(ただし精製度の低い玄米はヒ素含有率が高いために過剰摂食が危険となることも指摘されています)
*フレンチフライトランス脂肪酸、過酸化脂質、アクリルアミドの有害性を指しています。
「トランス脂肪酸関連の情報」
https://botanicals.co.jp/library_index.php?cate_number=16
 「ポテトチップス、フレンチフライのアクリルアミドで発がん、神経と生殖機能にも障害」
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=353
 「老化、癌を招く油脂過剰症は過酸化脂質(ペルオキシド)の過剰摂取」
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=429
*清涼飲料水終末糖化が炎症の原因となることを指しています。
「老化促進物質AGEと異性化糖」
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=522
*赤身の肉、ホットドッグなど加工肉
トランス脂肪酸、添加物の危険性を指しています。
「天然トランス脂肪酸(共役リノール酸)は心臓疾患に悪影響」
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=182
「加工肉の亜硝酸ナトリウムはトップクラスの発がん物質(WHO:IARC):
加工肉、食用肉の発がん性」
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=397
*マーガリン、ショートニング
植物性油脂を使用したアイスクリーム、ラクトアイス、チョコレート、ケーキは炎症の原因物質となるリノール酸や肥満細胞を肥大化させる植物性飽和脂肪酸が豊富。
マレーシアなどパームオイルが豊富な国ではココナッツオイル、パームオイルの過剰摂取で肥満と肥満細胞の肥大が社会問題化しています。
「日本のマーガリンからトランス脂肪酸がなくならない理由」
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=433
*善玉として挙げられるのは*新鮮でオメガ6が少ない植物性油
ハーバード大学はオリーブ油を挙げていますが、それは鮮度の高い油を入手できる産地周辺のこと。
過酸化しやすい不飽和脂肪酸を遠地で使用することはコスト面から困難です。
主旨は炎症物質を産生するオメガ6のリノール酸とトランス脂肪酸、過酸化脂質を避けること。
「老化、癌を招く油脂過剰症は過酸化脂質(ペルオキシド)の過剰摂取」
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=429
*ケール、ビーツなど緑色、紫色の葉野菜
「長寿社会の勝ち組となるには(その5):
赤紫色素は美容と長寿の最強抗酸化ポリフェノール(1)
葉野菜と根菜」
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=457
 ケールは眼の血管の炎症を防ぐことで知られています。
有効成分量は劣りますがキャベツで代用もできます。
*鮭、イワシなど脂肪分の多い魚類
炎症物質を産生するオメガ6のリノール酸に拮抗する魚油のオメガ3、ビタミンA, E類を指しています
*ポリフェノール豊富なフルーツ
強い抗酸化物質を持つアントシアニンを指しています。
アサイーはブルーベリーの10倍以上のアントシアニンを含有します。
またブドウレスベラトロールはアントシアニンばかりでなく細胞内小器官を活性化させるスチルべノイドが豊富です。
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=480
 *新鮮なトマト類
天然リコピンの抗酸化性を指しています。
リコピンは天然のカロチノイドと同様物質ですが合成カロチン(カロテン)は異なるものです。9.脂肪細胞の肥大で低下する善玉のアディポネクチン(adiponectin)アディポネクチン(adiponectin)はインスリン感受性ブドウ糖濃度低下ホルモン。
東京大学の山内敏正医師、門脇 孝助教授らがDNAのクローニングに成功しています。
アディポネクチンは、244アミノ酸残基から成るタンパク質。
脂肪細胞で産生分泌されます。
インスリンに感受性を示し、血中のブドウ糖濃度を下げる役割がある善玉ホルモンといわれます。

脂肪細胞が小さいと分泌が盛んになり、肥満化して大きくなると分泌が悪くなることが解明されています。
マウスレベルではアディポネクチンの欠乏で糖尿病になることが確認されており、肥満、Ⅱ型糖尿病患者、冠動脈疾患のアディポネクチン濃度は血漿中で減少しています(Nature. Jun. 12. 2003、Yamauchi.T et al)
アディポネクチンは酸化脂肪酸の発生などでおきる血管障害時に、障害場所に集積して動脈硬化抑制に働くという、いわば血管修復材の役割も持つそうです。10.レプチン(Leptin)レプチン(Leptin)・・・食欲抑制、脂肪分解ホルモン。
レプチンは1994年12月にロックフェラー大学及びハワード・ヒューズ医学研究所のジェフリー・フリードマン(Jeffrey Friedman)博士らによってネイチャー誌発表された脂肪細胞から分泌されるペプチドホルモン。
ギリシャ語のやせると言う意味(leptos)にちなんで命名されました。

レプチンは視床下部に存在するレプチン受容体に結合して食欲抑制と脂肪分解、褐色細胞においてはエネルギー代謝の亢進を促し、糖脂質代謝に影響を与えます。
レプチン欠損遺伝子を持つ家系に、合成したレプチンを投与すると異常肥満が治療できたという研究があります。
したがってレプチンは肥満を抑制すると考えられていますが、脂肪細胞からのレプチン分泌低下によってレプチンの血中濃度が低く、肥満になっている人の割合は多くはなく、90%くらいの肥満の人が通常のBMI値(肥満度)の人よりレプチン血中濃度が高いことが報告されていますので、機能の全貌はいまだに研究中とされています。

初版: 2012年06月改訂版:2013年07月改訂版:2016年11月